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管理会計とは:財務会計との違いを部門と子会社の例でわかりやすく

2026/10/30 (更新: 2026/11/3) シリーズ「ERP 入門」 第7回 / 全9回

シリーズERP 入門全9回
  1. 第1回ERPとは:意味と仕組み、基幹システムとの違いをわかりやすく
  2. 第2回販売管理とは:受注から入金までの業務フローと伝票の仕組み
  3. 第3回購買管理とは:発注・検収・請求書の照合・支払の流れと要点
  4. 第4回仕訳とは:借方・貸方のルールと勘定科目をわかりやすく
  5. 第5回MRPとは:資材所要量計画の仕組みと部品表、計算の手順
  6. 第6回マスタデータとは:品目・取引先などの例と、取引データとの違い
  7. 第7回管理会計とは:財務会計との違いを部門と子会社の例でわかりやすく
  8. 第8回職務の分離とは:ERPで一人に支払まで通させない権限の分け方
  9. 第9回ERP連携とは:CRM・MES・WMSとの役割分担と、データ連携の注意点

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  • 管理会計
  • 財務会計
  • 管理会計と財務会計の違い
  • 部門別損益
  • コストセンター
  • プロフィットセンター
  • 配賦
  • 共通費
  • 振替価格
  • セグメント
  • 連結
  • 連結財務諸表
  • 未実現利益
  • 原価計算基準
  • ERP
目次
背景・問い・要点
背景

ERP(Enterprise Resource Planning の略)は、会社の販売・購買・在庫・会計などの取引を、部門をまたぐ共通の型で記録する業務ソフトである。ERP は、一件ごとの取引に、品目や得意先のほか、会社、倉庫、部門のコードを付けて記録する。会計の記録は、売上・仕入・現金のような勘定科目ごとに、金額で書かれる。

会社は、一年や一か月の成績を、決算書(財務諸表)にまとめて外に示す。財務諸表は、会社の財産や儲けを示す書類で、法律上一つの会社(法人)ごとに作り、子会社があれば、グループをまとめた連結財務諸表も作る。だが、決算書の利益が一つの数字でも、会社の中の人は、どの課が稼ぎ、どの店が損をしているかを知りたい。

問い

管理会計とは何で、財務会計とどう違うのか。

要点

管理会計は、会社の中の人が判断に使うために、部門・製品・店などの単位で成績を出す会計である。財務会計は、外の人へ、決まった基準で、法人とグループの成績を示す。

会社は、部門に直接付かない費用を、自ら選んだ基準で部門に配るので、配り方で部門の利益が変わる。

ERP は同じ取引に会社と部門のコードを付けるので、会社は一つの記録から、法人の決算書、部門ごとの損益、グループの決算を集計できる。

モデル・例示

文具の卸の一か月を、法人と課の二つで集計する

※ この節の例は、説明のために作った架空のものです。

同じ一か月の取引でも、法人の決算では一つの利益になり、課ごとに集計すると、共通の費用の配り方で課の利益が変わる。

文具の卸の A 社に、営業一課と営業二課があるとする。一課は外の文具店へ売り、二課はグループの子会社の B 社へ売る。A 社は、課ごとの利益を毎月比べ、営業の人の配置や、売り先ごとの値段を見直す材料にしている。そのため、部門のマスタ(部門ごとに一件ずつ登録した基準の情報)で、一課と二課を、利益まで見る単位に割り当てている。

ある月の取引は次のとおりである。ここでの利益は、売上から、売った品の仕入の値段(原価)と、倉庫の家賃だけを引いたものとする。

取引内容
一課の販売ボールペン 400 本を外の文具店へ。売上 4 万円、原価 2 万 4000 円
二課の販売ボールペン 100 本を B 社へ。売上 8000 円、原価 6000 円
倉庫の家賃6000 円。一課と二課の両方の品を置いている

A 社の決算書では、売上の 4 万 8000 円から、原価の 3 万円と家賃の 6000 円を引いて、利益は 1 万 2000 円という一つの数字になる。

課ごとに見ると、売上と原価は、取引に付いた部門のコードで、そのまま課に分けられる。だが、家賃は二つの課の品を同じ倉庫に置いているので、どちらか一方の費用とは言えない。A 社は、出荷した本数の割合で、一課に 4800 円、二課に 1200 円を配った。一課の利益は 1 万 1200 円、二課の利益は 800 円になり、足すと決算書の 1 万 2000 円に戻る。売上の額の割合で配れば、二課の利益は 1000 円になる。どの配り方を使うかは、決算書の決まりではなく、A 社が判断のために選ぶ決め事である。

二課から B 社への販売は、A 社の決算書では売上だが、グループを一つの会社とみなす決算では、品物がグループの中で移っただけなので、その売上は消える。

管理会計とは:会社の中の人が、判断に使う会計

財務会計は、主に会社の外の人へ情報を出し、管理会計は、会社の中の人へ情報を出す1。財務諸表の主な利用者は、今の投資家や将来の投資家、貸し手や債権者である。その多くは、会社に情報を直接求められないので、必要なお金の情報の多くを、特定の相手に限らず外へ広く出す財務諸表に頼る2。そのため、財務諸表は会計の基準に沿って作る。

管理会計の定義は、米国公認会計士協会(AICPA、American Institute of Certified Public Accountants)と英国勅許管理会計士協会(CIMA、Chartered Institute of Management Accountants)が示している。それによれば、管理会計は、組織が価値を生み出し守るための、判断に役立つお金の情報とお金以外の情報を、集め、分析し、伝え、使うことである3。

管理会計は、外の人に向けて作る決算書ではないので、会計の基準に沿って作る決まりは無い。課ごと、製品ごと、店ごとなど、判断に必要な単位で作ればよい。ただし、内で見ている数字が、外への報告に使われることもある。国際財務報告基準(IFRS、International Financial Reporting Standards)は、株式や社債が市場で売買される会社に、事業の区分ごとの情報(セグメント情報)を求める。その区分は、会社の最高の意思決定者が、資源の配分を決め、成績を評価するために、定期的に見ている単位である2。外に出すセグメントの数字も、その意思決定者に報告している数字をそのまま使い、費用などを区分に配ったなら、合理的な基準で配る2。

日本の原価計算基準によれば、原価計算(品物やサービスにかかった費用を計算すること)の目的は一つではなく、財務諸表を作ることのほか、経営の管理に使うことがある4。同じ原価の数字が、外に出す財務諸表にも、中の管理にも使われる。原価計算基準は、原価計算を、財務会計とは別に時々行う計算ではなく、財務会計の仕組みと結びついて続けて行う計算だとする4。ERP では、同じ取引の記録を、違う単位と違う決まりで集計して、財務会計と管理会計の両方の数字を出せる。

管理会計と財務会計の違い:財務会計は法人ごと、管理会計は部門や製品ごとに集計する

財務会計の単位は、法人である。法人は、登記などで法律上の形が定まり、契約を結べ、自分の成績を報告する書類を作らなければならない組織である5。SAP(ドイツの SAP 社の ERP で、ERP は Enterprise Resource Planning の略)では、法律上独立した会社を、ふつう一つの会社コードとして作り、会社コードごとに一式の帳簿を持つ6。グループの決算は、法人ごとの決算をまとめて作る。

管理会計の単位は、会社が判断に合わせて決める。よく使うのは部門である。費用が生じる場所としてはっきり区切った単位をコストセンターという7。会社を責任の範囲ごとの単位に分け、それぞれを会社の中の会社として扱う単位をプロフィットセンターという8。コストセンターは費用が生じる単位にすぎないが、プロフィットセンターの責任者は、費用と収益の差に責任を持つ8。SAP では、コストセンターや品目など、利益に関わる基準の情報をプロフィットセンターに割り当てて、会社をプロフィットセンターに分ける8。

Microsoft の Dynamics 365 では、貸借対照表(ある時点の財産と借金と、その差の元手の一覧)は法人についてだけ作れるが、損益計算書(一定の期間の収益と費用と利益の一覧)は、法人の中の部門などの単位でも作れる9。財産や借金は法律上は法人のものなので、決算書の貸借対照表は法人ごとに作り、グループについては連結でまとめて作る。部門ごとの財産を見たいときは、管理会計の中で部門に割り当てる。SAP では、一部の貸借対照表の勘定の残高と増減を、プロフィットセンターへ移せる8。

ERP で部門別損益を出す:取引の明細に部門のコードを付ける

部門の損益は、取引に部門のコードが付いていれば、集計で出せる。ERPNext(オープンソースの ERP)では、コストセンターを請求書の明細の行ごとに持つので、一枚の請求書の行を別々のコストセンターに振り分けられる10。請求書を確定すると、選んだコストセンターが、収益と費用の会計の記録(仕訳)に入る10。Dynamics 365 では、部門などを財務の分析の軸(財務分析コード、financial dimension)として取引に付け、その軸ごとに損益計算書を作れる11。

勘定科目は「何の」売上や費用かを表し、部門は「どこの」売上や費用かを表す。二つは別の項目なので、勘定科目を部門の数だけ増やす必要は無い。ERPNext では、別の収益の勘定科目を作らずに、損益計算書や総勘定元帳をコストセンターで絞り込める10。

一つの会社の中で、部門から部門へ品物を渡すときに付ける値段を、振替価格という。SAP では、プロフィットセンターの間の品物の動きを、外の値段、グループの中の値段、特別に決めた振替価格のどれでも評価できる8。振替価格は、渡した部門と受けた部門の利益の分け方を決めるが、会社全体の利益は変えない。

共通の費用の配り方:配賦は会社が選ぶ決め事

どの部門で生じたかがはっきりしない費用もある。原価計算基準は、製品の原価を部門に分けるにあたり、その部門で生じたことが直接分かる費用を部門個別費、分からない費用を部門共通費とする4。部門個別費はそのまま部門に付け、部門共通費は、適当な配賦基準によって関係する部門に配る(配賦する)4。原価計算基準は、販売費と一般管理費も、販売する品の種類などに関連して直接費と間接費に分けて計算するとし、機能による分類の例に倉庫費を挙げている4。

配賦の基準には、出荷した数、売上の額、床の面積、働いた時間などがありうる。どの基準も、費用の生じ方を近似したものにすぎず、基準を変えれば部門の利益は変わる。配った後の部門の利益で部門を比べるときは、どの基準で配ったかを一緒に見る必要がある。共通の費用を配る前の、部門に直接付く売上と費用だけの利益を、別に見ることもある。

会社間取引と連結:グループの中の売買と、残った在庫の儲けを消す

親会社と子会社の間の販売と購買は、それぞれの法人の帳簿に記録する。SAP では、別の会社コードに属するプラント(工場や事業所)の間でも在庫を移せ、送る側が受け取る側に代金を請求する12。ERPNext では、一方の会社が別の会社へ品物やサービスを売るとき、会社間の請求書によって、売る側の売掛金(あとで受け取る代金)と、買う側の買掛金(あとで払う代金)の取引が作られる13。

グループの会社の決算をまとめて一つにすることを、連結という。連結財務諸表は、親会社と子会社の集まりを一つの組織とみなし、グループの財政状態や成績を、親会社がまとめて報告するために作る14。そのため、グループの会社の間の売買は互いに消し(相殺消去)、グループの中の取引で手に入れた在庫に含まれる、まだ外に売っていない儲け(未実現利益)は、全額を消す14。IFRS でも、グループの会社の間の取引に関わる収益と費用は全額消し、在庫などに含まれる儲けも全額消す2。この儲けを消すので、グループの中で買った在庫が売れずに残った月は、グループの利益が、会社ごとの利益の合計より小さくなる。

連結は、会社ごとの記録とは別の作業である。ERPNext の会社間の請求書は、会社ごとの帳簿に取引を記録するだけで、連結の報告と消去の仕訳は別に行う13。SAP ERP 6.0 の連結の機能(BCS、Business Consolidation)は、法定の連結と、管理のための連結の両方に使う15。SAP によれば、管理のための連結は、法の決まりではなく、経営者が必要とする情報に従う15。グループの成績も、外に出す決算の形のほか、経営者が判断に使う形で見られる。

管理会計は、会社の中の人が判断に使うために、部門・製品・店などの単位で成績を出す。財務会計は、外の人に向けて、会計の基準に沿って、法人とグループの成績を示す。ERP は、同じ取引に会社と部門のコードを付けておくので、同じ記録から、法人の決算、部門の損益、グループの決算を集計できる。部門の損益は共通の費用の配り方で変わり、グループの決算では会社の間の取引と、グループの中に残る儲けを消す。

出典15件
  1. MIT OpenCourseWare「15.501 Introduction to Financial and Managerial Accounting, Lecture 1」2004年. https://ocw.mit.edu/courses/15-501-introduction-to-financial-and-managerial-accounting-spring-2004/ba3b08d9b4cb8c76d3f017030f790e2f_lecture1.pdf — 財務会計は主に外の人へ、管理会計は中の人へ情報を出す。 ↩

  2. 欧州連合「Commission Regulation (EU) 2023/1803」(IAS 第1号・IFRS 第8号・IFRS 第10号を含む)2023年、2024年4月の保存版. https://web.archive.org/web/20240404182145/https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/HTML/?uri=CELEX:32023R1803 — 財務諸表の主な利用者、事業セグメントの定義、グループ内の取引の全額消去。 ↩ ↩2 ↩3 ↩4

  3. AICPA・CIMA「GMAP 2.0: Revised guidance for a rapidly changing world」FM magazine、2024年1月. https://www.fm-magazine.com/news/2024/jan/gmap-2-0-revised-guidance-for-a-rapidly-changing-world/ — 管理会計の定義は変わらず、判断に役立つ情報を集め、分析し、伝え、使うこと。 ↩

  4. 企業会計審議会「原価計算基準」1962年(北星学園大学のサイトに載る本文). https://www.ipc.hokusei.ac.jp/~z00153/cost_accounting_standards.pdf — 原価計算の目的は財務諸表の作成と経営の管理で、単一ではない。 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5

  5. Microsoft「Organizations and organizational hierarchies overview」Dynamics 365 ドキュメント、2026年10月30日取得. https://learn.microsoft.com/en-us/dynamics365/fin-ops-core/fin-ops/organization-administration/organizations-organizational-hierarchies — 法人は法律上の形を持ち、契約を結び、成績の報告を作る。 ↩

  6. SAP「Company Code」SAP S/4HANA 2025 ドキュメント、2026年10月30日取得. https://help.sap.com/docs/SAP_S4HANA_ON-PREMISE/8fbeed5f2046489696a50ac7fd76f9c6/3a27d153c9684608e10000000a174cb4.html — 一式の帳簿を作れる外部会計の最小単位、独立した会社は一つの会社コード。 ↩

  7. SAP「Cost Centers」SAP ERP 6.0 ドキュメント、2026年10月30日取得. https://help.sap.com/docs/SAP_ERP_SPV/b42281c1645049a4b07c0ab25ec8b899/a30ad553088f4308e10000000a174cb4.html — コストセンターは費用が生じる場所をはっきり区切った組織の単位。 ↩

  8. SAP「Profit Center Accounting (EC-PCA)」SAP S/4HANA 2025 ドキュメント、2026年10月30日取得. https://help.sap.com/docs/SAP_S4HANA_ON-PREMISE/0f095921571d4e94a53bfaa5f6dc120d/7765cf536db84408e10000000a174cb4.html — 責任の範囲ごとに会社の中の会社として扱う。責任者は費用と収益の差に責任を持つ。 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5

  9. Microsoft「Plan your organizational hierarchy」Dynamics 365 ドキュメント、2026年10月30日取得. https://learn.microsoft.com/en-us/dynamics365/fin-ops-core/fin-ops/organization-administration/plan-organizational-hierarchy — 貸借対照表は法人についてだけ作れるが、損益計算書は法人の中の部門などの単位でも作れる。 ↩

  10. Frappe「Cost Center」ERPNext ドキュメント、2026年10月30日取得. https://docs.frappe.io/erpnext/user/manual/en/cost-center — コストセンターは明細の行ごとに持ち、確定で収益と費用の仕訳に入る。 ↩ ↩2 ↩3

  11. Microsoft「Financial dimensions and tags」Dynamics 365 ドキュメント、2026年10月30日取得. https://learn.microsoft.com/en-us/dynamics365/finance/general-ledger/financial-dimensions — 財務の分析の軸で取引を分類し、軸ごとに損益計算書を作れる。 ↩

  12. SAP「Working with Intercompany Stock Transfer」SAP S/4HANA 2025 ドキュメント、2026年10月30日取得. https://help.sap.com/docs/SAP_S4HANA_ON-PREMISE/7b24a64d9d0941bda1afa753263d9e39/ea70b6535fe6b74ce10000000a174cb4.html — 別の会社コードのプラントの間でも在庫を移せ、送る側が受け取る側に請求する。 ↩

  13. Frappe「Inter Company Invoices」ERPNext ドキュメント、2026年10月30日取得. https://docs.frappe.io/erpnext/user/manual/en/inter-company-invoices — 会社間の売掛金と買掛金を作るが、連結はせず、消去は別の会計の作業。 ↩ ↩2

  14. 企業会計基準委員会「企業会計基準第22号 連結財務諸表に関する会計基準」2026年10月16日までの修正反映版. https://www.asb-j.jp/jp/wp-content/uploads/sites/4/ecl20261016_34.pdf — 企業集団を単一の組織体とみなす。連結会社の間の取引と未実現損益の消去。 ↩ ↩2

  15. SAP「Business Consolidation (BCS)」SAP ERP 6.0 ドキュメント、2026年10月30日取得. https://help.sap.com/docs/SAP_ERP/b216b6bc6d8843e9acd99baa92b65ea9/b59fcf535b804808e10000000a174cb4.html — 法定の連結と管理のための連結の両方に使い、管理のための連結は経営者が要る情報に従う。 ↩ ↩2

この記事はAIを使用して執筆されました。内容には誤りが含まれる可能性があります。事実や数字の出典は脚注から確かめられます。