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ものづくり・製造

スマホに約千個、砂粒より小さい——「MLCC」という見えない主役と、村田製作所が世界一の理由

2026/6/21 (更新: 2026/6/21) シリーズ「世界トップのものづくりを解剖する」 第1回 / 全3回

いま手元にあるスマートフォンの中に、あなたが名前も知らない部品が、約1000個入っている[1]。 ひとつは砂粒より小さい。なのに、それが足りないとスマホもパソコンも車も動かない。

その部品の名前は MLCC(積層セラミックコンデンサ)。 そして、この地味な“名脇役”を作る世界一の会社は、京都の 村田製作所だ——世界シェアはおよそ4割[2]

なぜ、こんな小さな部品が「世界一」を競うほど難しいのか。それを覗くと、「ものづくり」という言葉の本当の意味が見えてくる。

まず、コンデンサって何をするもの?

コンデンサを乱暴にたとえると、電気をちょっとだけ貯められる、小さな水タンクだ。 電気の流れは、実際にはガタガタ波打っている。そのままでは繊細な電子回路が誤動作する。 そこでコンデンサが、多いときに少し吸い込み、足りないときに少し吐き出して、流れをなめらかにする

スマホには電源や信号の経路が無数にあり、そのあちこちに“ならし役”が要る。だから1台に1000個も入る。電気自動車では1万個以上[1]。現代の電子機器は、この見えない名脇役の大群に支えられている。

※ 概念図(フロー) MLCCの中身(断面のイメージ) 青と橙の電極が交互に重なり、間はセラミック セラミック1層 ≈ 0.5マイクロメートル =髪の毛の約1/100 層は数百枚、 全体は砂粒サイズ
セラミック(誘電体)と金属電極を交互に何百層も積み、砂粒サイズに収める。重なりが多いほど、たくさん電気を貯められる。

なぜ「世界一」を競うほど難しいのか

MLCCの性能は、ざっくり言えば「薄いセラミック層を、いかに何枚も、欠陥なく積めるか」で決まる。重なりが多いほど、小さなまま容量を稼げるからだ。

ここに、気が遠くなるような難しさが詰まっている。

そして核心は材料にある。MLCCの心臓は、チタン酸バリウムという、直径をおおむね100ナノメートル前後(先端品の水準で、製品世代により幅がある)まで微細化したセラミックの超微粒子だ。 この粉をどれだけ細かく・均一に作れるかが、層の薄さと品質を決める。焼き固める(焼結)ときに割れず・縮みすぎず・電極がショートしないよう、粉のレシピと焼成の工程を“擦り合わせる”ノウハウ——これこそが、数十年かけて積み上げた、簡単には真似できない強みだ[7]

これが「ものづくり」の正体だ。 すごい設計図があれば作れる、のではない。ナノの粉を作る化学と、何百層を歪みなく焼き上げる工程が、不可分に絡み合っている。村田は原料のチタン酸バリウムの確保まで押さえている[7]。「材料」と「工程」が一体になった摺り合わせの塊——それが世界一の堀(モート)になる。

どう役に立つ・なぜ面白いのか

MLCCは、現代エレクトロニクスの“隠れた急所”だ。スマホを薄く、EVを賢くするほど、より小さく・より多くのMLCCが要る。だから2018年や近年のAIサーバー需要のたびに、MLCC不足が世界のものづくりを揺らしてきた[8]

派手なチップ(CPUやGPU)が主役に見える一方で、その足元を支える地味な名脇役の供給を、一国・一社が握っている。これは、技術の世界の力学を考えるうえでとても示唆的だ。

正直な補足も置いておく。MLCC市場は好不況の波が大きい寡占市場で、村田・サムスン電機・太陽誘電・TDK・ヤゲオの上位5社で世界の7〜8割を占める[9]。中国メーカーも低価格帯で台頭しつつあり(シェア1割程度)、日本勢は車載・AI向けの高難度品へ軸足を移している[9]。世界一は、固定された地位ではなく、薄さと歩留まりの絶え間ない競争の上にある。


出典(すべて公開情報): [1] スマホ約1000個・EV1万個以上:村田製作所「Automotive MLCC」記事(murata.com、2024)。 [2] 世界シェア約40%で首位:村田製作所(murata.com)/業界分析(passive-components.eu, 2024)。セグメント・年により変動。 [3] 「髪の毛(約80µm)の1/100」「0.5µm以下」:村田製作所「MLCC for 5G smartphone」(murata.com)/Wikipedia "Ceramic capacitor"。 [4] 数百層〜先端品800層級:村田製作所「Automotive MLCC」(murata.com)/Wikipedia "Ceramic capacitor"。「1000層」という確かな一次情報は確認できなかったため「数百〜約800」と表記。 [5] 世界最小006003(0.16×0.08mm):村田製作所プレスリリース(2024年9月、murata.com)。なお0.25×0.125mm(008004)は2014年の節目だが現在の最小ではない。 [6] 年数兆個:Wikipedia "Ceramic capacitor"(2012年時点で年1兆個超)ほか市場推計。具体数は資料により幅があるため「数兆個」と表記。 [7] チタン酸バリウム微粒子・焼結の難しさ・原料統合:村田製作所技術記事/業界分析(passive-components.eu)。モートの解釈は分析であり断定ではない。 [8] MLCC不足:2018年不足・近年のAIサーバー需要逼迫(eenewseurope.com ほか)。 [9] 上位5社で7〜8割・中国勢約1割:Mordor Intelligence/passive-components.eu。

この記事はAIが下書きし、人間が編集・公開しています。