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音楽

ローファイ・ヒップホップとは:音の特徴、系譜、作り方

2026/6/22 (更新: 2026/11/3)

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目次
背景・問い・要点
背景

作業や勉強のあいだ、こもった音色とかすかなノイズで静かに鳴り続ける音楽がある。ローファイ・ヒップホップと呼ばれるこの音楽は、ヒップホップと環境音楽(ambient)の二つを土台にしている1。ドラムと伴奏を数小節ごとに繰り返すヒップホップの演奏をビートと呼び、この音楽はそのビートに、チルアウトと呼ばれる落ち着いた音楽の要素を合わせる1。

名前の「ローファイ(lo-fi)」は low fidelity(低忠実度)の略で、このスタイルに多い、磨き上げない作り方を指す1。普通、録音や機材は音をいかにクリアにするかを競う。この音楽では向きが逆で、ヴァイナル(レコード)のパチパチ、テープのヒス(サーという雑音)、高音を削った丸い音という、本来なら避けたい不完全さをわざと残す。

本稿は、Cメジャー・78 BPM(beats per minute)でつくった一曲を例に取る。澄んだ音で組んだ一小節に、裏拍を遅らせる・高音を削る・ノイズを足すという三つの操作を順に加え、この音楽の音がどう作られるかをたどる。

問い

ローファイ・ヒップホップとは、どんな音を、どう作る音楽なのか。

要点

ローファイ・ヒップホップは、ヴァイナルのノイズやこもった音といった不完全さを、作り手がわざと残し、ときには作って足すヒップホップである。定番の作り方は、遅いテンポ、ジャジーな和音、高音を削ってノイズを重ねる処理、後ろへずれたリズムの四つだ。

四つのうち、出典が特徴に挙げるのは遅いテンポで、模造のノイズは出典が引く音楽メディア Pitchfork の批評家が挙げる1。本稿の一曲では、拍のちょうど真ん中に来る音を約77ミリ秒遅らせ、高音を削り、1秒に平均13回ほどノイズを足した。このジャンルの落ち着いた音は、勉強やくつろぎの背景としてよく聴かれる1。

モデル・例示

Cメジャー・78 BPM の一曲に、劣化とよれを足す

この例が見せるのは、ローファイらしいこもった音とよれが、澄んだ一小節に三つの操作を加えて作れることだ。使う一曲(Cメジャー・78 BPM・24小節・約75秒)はページ上部で再生できる。この曲は、波形を計算するプログラムで作った。プログラムはまず楽器の音を拍の位置に置いて重ね、重ね終えた音に、高音を削る操作とノイズを足す操作を加える。拍の位置を決める段階で、裏拍をわざと遅らせる。以下では、全部の楽器が揃う A の最初の小節(5小節目・和音は Cmaj7)が、この三つの操作でどう変わるかをたどる。

澄んだ一小節:拍の上に音を置く

BPM は1分あたりの拍の数である。78 BPM では1拍が 60/78≈0.76960 / 78 \approx 0.769 秒、4拍の一小節が約3.08秒になる。プログラムはこの小節に、次の音を置く。

  • パッド:和音を長く伸ばす柔らかい音色。Cmaj7 の4音(C・E・G・B)を小節いっぱい鳴らす。
  • ベース:低い音。1拍目と3拍目(0秒と約1.54秒)に、和音の根の音 C を置く。
  • ドラム:低く重い太鼓のキックを1拍目と3拍目、乾いた音の小太鼓のスネアを2拍目と4拍目に置く。金属の小さな打楽器のハイハットは、八分音符(1拍を二つに割った長さ)ごとに8回刻む。
  • メロディ:八分音符の位置に、C・D・E・G から選んだ音を置き、ところどころを空ける。

一つの拍の後ろ半分にあたる八分音符の位置を、裏拍と呼ぶ。ここまでの段階では、すべての音が拍をちょうど二つに割った位置にある。

操作 1:裏拍を77ミリ秒遅らせる

プログラムは、裏拍の音を拍の半分(50%)の位置ではなく、拍の60%の位置に置く。裏拍を後ろへずらすこの操作をスウィングと呼ぶ。1拍は約0.769秒なので、裏拍の音は約0.385秒の位置から約0.462秒の位置へ、約77ミリ秒遅れる。ハイハット8回の時刻は次のように変わる。

何拍目のどこか遅らせる前遅らせた後
1拍目の頭0.000秒0.000秒
1拍目の裏0.385秒0.462秒
2拍目の頭0.769秒0.769秒
2拍目の裏1.154秒1.231秒
3拍目の頭1.538秒1.538秒
3拍目の裏1.923秒2.000秒
4拍目の頭2.308秒2.308秒
4拍目の裏2.692秒2.769秒
この小節のハイハットの時刻(小節の頭から)

メロディの裏拍の音も同じだけ遅れる。キック・スネア・ベースは拍の頭にあるので動かない。土台は拍どおりに鳴り、その隙間の音だけが少し遅れて入る。このように音を拍よりわずかに遅らせて鳴らす弾き方をレイドバックと呼び、演奏は気だるく聞こえる。ただしスウィングは一律に「裏拍を60%へ」とずらしただけで、一打ごとに強さやタイミングを少しずつばらつかせるヒューマナイズはしていない。

操作 2:高音を削る

デジタルの音は、空気の振動の大きさを短い間隔で記録した数の列である。この曲は1秒あたり 22,050 個の数(サンプル)で記録している。高音を削るのに使うのは、低い音を通して高い音を弱める処理で、ローパスフィルタと呼ぶ。

この曲のローパスフィルタは、一つ前の出力と今の入力だけから次の出力を決める、いちばん単純な形(ワンポール)である。今の入力を xnx_n、一つ前の出力を yn−1y_{n-1} とすると、新しい出力は yn=yn−1+0.3 (xn−yn−1)y_n = y_{n-1} + 0.3\,(x_n - y_{n-1}) で、入力との差の3割だけ入力へ近づく。入力が0から1へ跳んでそのまま続くと、出力は 0.30、0.51、0.66、0.76 と少しずつしか追いつかない。

1秒あたりの振動の回数を周波数(Hz)と呼び、低い音ほど周波数が小さい。入力が+1と−1をサンプルごとに入れ替える振動は、この曲で表せるいちばん速い振動で、約11kHzにあたる。このとき出力は 0.30、−0.09、0.24、−0.13 と動き、やがて+0.18と−0.18の往復に落ち着く。出力が入力へ近づききる前に、入力の向きが逆になるからである。

遅い振動では、隣り合うサンプルの値の差が小さいので、出力は入力に追いつける。約131Hzの振動は1周期が約168サンプルにわたり、8kHzの振動は約2.8サンプルで1周期を終える。

上の約168と約2.8は、この曲の1秒 22,050 サンプルをそれぞれの周波数で割った数である。各周波数の振動をこの式に通し続け、落ち着いたあとの振れ幅が入力の何倍かを計算すると、次のようになる。dB(デシベル)は倍率を 20×log⁡1020 \times \log_{10}(倍率)で表した数で、−3 dB はおよそ0.7倍にあたる。

周波数振れ幅の倍率dB
約131Hz(ベースの C)約0.995倍約0
約262Hz(パッドのいちばん低い C)約0.98倍約−0.2
約1.3kHz約0.70倍約−3
4kHz約0.32倍約−10
8kHz約0.19倍約−14
ローパスフィルタを通したあとの振れ幅

ベースとパッドの音の低い成分は、ほとんどそのまま残る。それらの音に含まれる高い成分は弱まり、ハイハットやスネアのように高い周波数を多く含む音は、鋭さが落ちて丸くなる。

操作 3:ノイズを足す

フィルタを通したあと、プログラムは、ところどころのサンプル一つだけに、−0.05から+0.05のあいだの値を足す。たとえば 0.12、0.13、0.14 と滑らかに続く列の真ん中に 0.05 を足すと、0.12、0.18、0.14 になり、1サンプルだけ尖った点ができる。足す回数は1秒に平均13回ほどで、約3.08秒のこの小節にはおよそ40回入る。この1サンプルの尖りはフィルタのあとで足すので、高音を削られない。プログラムはこの尖りを、ヴァイナルのかすかなパチパチ(クラックル)を模した音として足している。最後に曲全体を、いちばん大きな振れ幅が 0.9 になるように揃え、22.05kHz・16bit・モノラルで書き出している。

この一小節から言えること

  1. この例の劣化は、作った後に加える操作である。 プログラムはまず澄んだ音を計算し、そこから高音を削り、ノイズを足す。この曲のノイズは消し損ねではなく、わざわざ作って足したものである。
  2. どれだけ削られるかは周波数で決まる。 約131Hzの成分はほぼそのまま残り、8kHzの成分は約0.19倍になる。ベースやパッドの低い響きは保たれ、高い成分の鋭さが落ちる。
  3. 遅れるのは裏拍だけである。 キック・スネア・ベースは拍の頭に置いたまま、裏拍のハイハットとメロディだけが約77ミリ秒遅れる。

曲全体の組み立て

和音の進み方(コード進行)は I–vi–ii–V(ローマ数字は、調の音階の何番目の音を根にした和音かを表す)、Cでは Cmaj7–Am7–Dm7–G7 の4和音(三和音に7度を重ねた和音)の繰り返しだ。これはジャズで典型的なターンアラウンド(区切りの終わりで頭へ戻るための進行)の一つである。

メロディはおおむね Cメジャー・ペンタトニック(C・D・E・G・A の5音音階)から選び、G7 の小節だけ和音の3度の B を借りる。

パッド・メロディ・ベースは ADSRエンベロープで音量の時間変化を決めている。鳴り始めから最大の音量まで上がる時間(Attack)、そこから下がる時間(Decay)、下がったあと保つ音量(Sustain)、鳴りやんでから消えるまでの時間(Release)の四つを、楽器ごとに設定する。

曲は同じ4小節をただ繰り返すのではなく、楽器の出入りで次の六つの部分に分けている。

  • イントロ:音量を抑えたパッドに、まばらなメロディと1拍に1回のハイハットを添えて入る。ベース・キック・スネアが少しずつ加わる。
  • A:全部が揃ったグルーヴ。
  • B:メロディを1オクターブ上げ、メロディに答える3度上の短いフレーズ(対旋律)を足し、ハイハットを16分音符(1拍を四つに割った長さ)に細かくする。16分のハイハットも拍の頭以外は後ろへずれ、拍の25%と75%の位置の音は約38ミリ秒遅れる。
  • ブレイク(2小節):メロディ主線とベースが抜け、パッドが弱まる。ドラムと対旋律は鳴り続ける。
  • リターン:ベースが3拍目で根の音から5度上(Cmaj7 の小節なら G)へ移り、メロディの1オクターブ下に同じ旋律を重ねる。
  • アウトロ:最後の1小節でスネアを抜き、キックは1拍目だけ、ハイハットは1拍に1回に間引く。G7 のパッドに Cmaj7 を重ねて長く伸ばす。

この曲について、正直に。この曲は、波形を一から計算する小さなプログラム(Python標準ライブラリのみ)でAIが合成したものだ。乱数はシード固定で、何度走らせても同じ音が出る=再現可能。DAW(Digital Audio Workstation、REAPER等)や実機で演奏・録音したのでも、ニューラル生成でもなく、コードによる音響合成である。

そして私(AI)は音を聴けない。だから「心地よく鳴っているか」という主観評価はできていない。代わりに、和声やリズムが意図どおりかをスペクトル解析で客観的に確認できる形にした。この形で、和音の構成音がスペクトル上で外れ音を上回っていることを確かめた(倍率は解析窓や集計範囲の取り方で桁が変わるので、ここでは具体的な比を示さない)。キックは1・3拍に立ち、書き出せる最大値を超えて波形の頭が切れたサンプル(クリッピング)は0個、音量の目安になる RMS(root mean square、振れ幅の二乗の平均の平方根)は約 0.11。

今回は曲に展開を持たせたので、その起伏も小節ごとのRMSで確かめた。イントロは小さな音量で立ち上がり、ブレイクでメロディとベースが抜けて音が落ち、最後は長い和音で終わる。

スウィング(よれ)も、聴かずに検証した:合成した音から打点の時刻を拾い、裏拍のハイハットが拍の50%ではなく60%(約77ミリ秒遅れ)に立っていること、キック・スネアは拍の頭に残っていることを確認した(土台はまっすぐ、隙間だけがよれる)。

調律は平均律どおりだが、Bセクションの対旋律は和音の種類にかかわらず一律に3度上へ重ねているため、パッドと半音でぶつかる小節がある。

これは「AIと一緒に音楽を作り、その仕組みを学ぶ」試みの一歩だ。一方で、AI が音楽産業に及ぼした影響でこのジャンルの音楽家が収入を失っていると、Pitchfork が2025年7月に報じている1。

ローファイ・ヒップホップとは「あえての劣化」である

ローファイ(lo-fi)は low fidelity(低忠実度)、つまり「音の再現度が低い」という意味だ。ローファイ・ヒップホップは、2000年代のアンダーグラウンドなビートメイク文化の中で、とくに Roland の SP-303 / SP-404 というサンプラーが登場したあとに生まれた1。どちらのサンプラーにも「lo-fi」というエフェクトが独立したボタンとして付いていた1。ジャンルの名前そのものは、音楽の低忠実度の美学に由来する1。

作り手は古いジャズやソウルのレコードをサンプリングし、混ざっているノイズを取り除かずに、むしろ残す。このジャンルでは、傷んだ音が温かさと郷愁を生む。本稿の一曲は、レコードを使わずに、高音を削る処理とノイズを足す処理でこの種の音を計算して作った。

系譜:J・ディラとNujabes

出典がこの系譜でまず挙げるのは、MF Doom と Madlib の2004年のアルバム『Madvillainy』で、このジャンルの「共有の試金石」とみなされている1。

ローファイというジャンルの成立に関わった作り手として、J・ディラ(J Dilla) の名前もしばしば挙がる1。ただし出典はJ・ディラの名を挙げるだけで、手法は書いていない。いまのローファイのビートメイクでは、ジャズやソウルのレコードをピッチを下げてサンプリングし、揺らぎや不完全さを残したまま使うことが多いが、これは本稿がジャンルの通例として補った一般論である。

もう一人が、日本のプロデューサー Nujabes だ。アニメ『サムライチャンプルー』のサウンドトラックは、ジャンルの成長を牽引したとされる1。彼は「ローファイ・ヒップホップのゴッドファーザー」とも呼ばれる1。

「勉強用ラジオ」という現象

ローファイ・ヒップホップを世界規模に押し上げたのが、YouTube の 24時間ライブ配信だ。ChilledCow(のちの Lofi Girl)というチャンネルが、2017年2月から「作業・勉強のためのリラックス音楽」としてローファイのビートを流してきた(2017年夏・2020年2月・2022年7月に一時停止を挟む)2。2017年夏の停止は、アニメ映画『耳をすませば』の勉強する少女の映像を使っていたためで、同年9月の復帰時にはオリジナルの「勉強する女の子」のアニメーションに替わった2。ヘッドフォンをして机に向かういまの女の子の映像は2018年3月からで、この映像とともに「lofi hip hop radio - beats to relax/study to」は莫大な再生回数を集める文化現象になった2。

ローファイ・ヒップホップは、主役として聴くより、勉強やくつろぎの背景として流される音楽である1。そのため作り手は、高音の鋭い音や音量を押し出したミックスを避け、高音を削った丸い音を選ぶ。

どう作るのか(一般論として)

ローファイ・ヒップホップの作り方には、いくつかの定番がある。このうち出典が特徴に挙げるのは遅いテンポで、模造のノイズは出典が引く Pitchfork の批評家の評だ。和音とリズムのよれは、ジャンルの通例として補った一般論である。

出典3件
  1. Wikipedia「Lofi hip-hop」. https://en.wikipedia.org/wiki/Lofi_hip-hop — 低忠実度の美学に由来する名と特徴、SP-303/SP-404 以後の成立、Madvillainy・J Dilla・Nujabes、ヒップホップと環境音楽という土台、Pitchfork の批評家の評と2025年7月の AI の報道。 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10 ↩11 ↩12 ↩13 ↩14 ↩15 ↩16

  2. Wikipedia「Lofi Girl」. https://en.wikipedia.org/wiki/Lofi_Girl — 2017年2月25日の配信開始、2017年夏・2020年2月・2022年7月の停止、2017年9月のオリジナル動画と2018年3月からの図像、2020年2月の2.18億回・2022年7月の6.68億回超の再生。 ↩ ↩2 ↩3

  3. Wikipedia「Major seventh chord」. https://en.wikipedia.org/wiki/Major_seventh_chord — 長三和音に長7度を重ねた4和音(Cmaj7=C・E・G・B)で、1920年代のジャズ・エイジ以来ジャズで多用される。 ↩

この記事はAIを使用して執筆されました。内容には誤りが含まれる可能性があります。事実や数字の出典は脚注から確かめられます。