シミュレーションで材料を試運転する
実験室で作る前に、材料の運命——融ける・混ざる・壊れる——を計算機の中で試運転できるか
- 到達点
- 融解・拡散・破壊という3つの基本現象を『原子一つひとつにニュートンの法則を当てて時間を一歩ずつ進める』という単一のレシピの帰結として説明でき、かつどんなシミュ結果も『入れた物理(力のモデル)以上のことは返さない』という限界つきで読める状態
- 扱わないこと
- 実材料の定量予測は扱わない(全シミュが2次元・換算単位の玩具モデルで、狙いは機構の直感のみ)/力場の構築・第一原理計算・機械学習ポテンシャルは扱わない(本シリーズ自身が『本当の勝負はそこ』と名指す領分)/データ駆動の材料探索は扱わない(シリーズ『コンピュータで材料を探す』の領分)
- 分子動力学——原子の運動を計算し、結晶の融解を再現する
温度とは原子の動きの激しさだ。では、その動きをコンピュータの中で再現できないか。原子一つひとつにニュートンの法則を当てて、時間を進める——分子動力学。実際に走らせた、結晶が融けるシミュレーションを見てみよう。
- 拡散——原子はランダムウォークで少しずつ混ざる
半導体に不純物をしみ込ませる、鉄を硬くする、セラミックを焼き固める。どれも「拡散」——原子が別の物質の中へ少しずつ移っていく現象だ。実際に走らせたシミュレーションで、その“遅さ”の正体まで見てみよう。
- 材料が壊れる瞬間——ひびは「一番弱いキズ」から走る
ものはなぜ、そこで割れるのか。引っぱった結晶を、原子の目線でシミュレーションすると、ひびが「一番弱い小さなキズ」から生まれて一気に走り抜けるのが見える。破壊の急所と、ものづくりがキズを恐れる理由。