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AI・信頼性・評価

AI創薬、Phase Iは好成績もPhase IIは業界平均並み、承認例なし

2026/7/27 (更新: 2026/9/7)

目次
【背景】AIが設計した分子の成功率は従来より高い、という集計が報じられた失敗が当たり前の産業なので、この集計は広く引かれた【問い】その「成功率」は、どの段階を数えたものか害が出ないかを見る段階と、効くかを問う段階が同じ言葉で呼ばれる
※概念図(背景→問い):AI創薬の「成功率」を段階別に見る
背景

新しい薬は、できあがったらすぐ薬局に並ぶわけではない。研究室で候補となる化合物を作ったあと、まず少人数の人に飲ませて、深刻な害が出ないかを見る。害が出なければ、その病気の患者を集めて「本当に効くのか」を確かめる。効くらしいと分かれば、さらに大人数で確証を取り、そこで初めて規制当局に承認を申請する。この人を対象にした一連の試験が臨床試験で、段階は順に進み、前の段階を通らなければ次には進めない。脱落は後ろの段階ほど痛い——そこまでに積み上げた年月と費用が大きいからだ。

ここにAIが入ってきた。膨大な候補から見込みのある化合物を絞り、狙うべき体内のたんぱく質を見つけ、分子の形を設計する。計算機の上で先に絞れれば、実験に回す数を減らせる。実際、AIが設計した分子が次々と臨床試験に入り、その成功率は従来の創薬より高いという集計が報じられた。失敗が当たり前の産業なので、この集計は広く引かれた。

ただし、どの段階を数えたのかを言わないかぎり、「成功率」の中身は定まらない。害が出ないかを見る段階を通った割合と、効くかどうかを問う段階を通った割合は、同じ言葉で呼ばれていても別のことを測っている。報じられた数字がどちらのものかで、読者が受け取るべき意味は変わる。

問い

AI創薬の高い成功率は臨床試験のどの段階の数字で、段階を追って見たときにその優位は残るのか——同じ分析の段階別データで確かめる。

要点

高い成功率は、害が出ないかを見る最初の段階のものである。効くかどうかを問う次の段階まで進めると、成功率は業界平均並みに戻る。 同じ論文の中で、Phase I完了時の80〜90%は、Phase IIでは40%になる(いずれも2023年12月時点の集計)1。前半の高さは、AIが効くと言われてきた工程——化合物を設計し、安全性を確かめるところまで——の話であり、薬が効くかどうかを問う段階に入ると差が消える。ただしこの40%を「AIが効かなかった証拠」と読むことはできない。原典は、Phase II後に中止された6品目のうち有効性の否定的データで落ちたのは2品目だけで、残りは事業優先順位の変更などによると記録している1。そして2026年のレビューは、AI単独で発見された薬剤で正式な規制当局承認に至った例はまだ無いと記している2

Phase Iの数字が語ること

Jayatungaらの分析は、100社を超えるAIネイティブ創薬企業のコンペンディウムを起点にしている(原典逐語 a compendium of >100 AI-native Biotech companies)。そこから公開情報でパイプラインを集め、2015年以降に臨床入りした75品目のうち、2023年時点で試験が進行中の67品目を特定した1。著者5名は全員がボストン・コンサルティング・グループ(BCG)の従業員で、研究資金もBCGのヘルスケア部門が出している1。原典は限界の一つとして、大手製薬企業の内部だけから生まれたAI発見分子をこの集計が含まないこと(Our data are therefore not fully exhaustive)を挙げている1。AIが発見した標的を持つ分子については、原典は品目数を示さず「2023年のパイプラインの30%超」という比率だけを挙げている。成功率の分母はこれとは別の切り口で数えられている。2023年12月時点でPhase Iを完了したAI創薬分子は24品目、うち21品目が成功した——この24品目は発見様式を問わない集計である。ここから出る80〜90%を、論文は「業界の歴史的平均を大きく上回る」と評価している——原典が比較対象として挙げる歴史的なPhase I成功率は40%から55〜65%の幅である(この40%は歴史的なPhase Iの下限であって、後述するPhase IIの40%とは別の数字である)1。ここでいう成功率は、そのフェーズを終えた分子のうち次のフェーズへ進んだ割合を指す——ただし原典は判定基準を本文では定義せず、方法を補足資料に置いている(see supplementary material methods and information online)。Phase Iは主に安全性・忍容性を確認する段階であり、この数字はAIが毒性や副作用の少ない分子を選ぶタスクに強いことを示唆する。原典はこの読みを we believe this is likely to be at least part of the explanation として支持している。同時に対抗仮説として「検証済みの生物学を狙っているだけ」「既知の分子系列で学習しているだけ」も並べ、後者については we do not have sufficient information to assess this hypothesis と保留している。前者については、新規標的を狙った分子が少なくとも3件あっていずれもPhase Iを通過したことを根拠に、高い成功率は検証済みの生物学を狙った結果だけではない、と原典自身が結論している。失敗の側についても原典は、Phase Iで失敗した3分子のうち評価基準の未達によるものは1件だけで、残る2件は事業判断とパイプラインの再優先付けによる中止だったと記録している。創薬の初期スクリーニングでAIが機能している、という主張の根拠はここにある。

rentosertibという具体例

数字だけでなく、実際の試験結果も出てきている。Insilico Medicineの生成AIプラットフォームが標的TNIKを同定し設計したrentosertib(INS018_055)は、特発性肺線維症(IPF)患者71人を対象に、中国21施設でランダム化二重盲検プラセボ対照Phase 2a試験を実施した3。原典は限界として、各群の症例数が小さいこと、参加者が全員中国居住で人口統計的に均質であること、追跡が12週と短いことの3点を挙げている3。1日1回30mg、1日2回30mg、1日1回60mgの3用量とプラセボを12週間投与し、主要評価項目は「治療下で発現した有害事象を1件以上経験した患者の割合」で、全群で同程度だった(実薬 72.2〜83.3%、プラセボ 70.6%)。ここに合否のしきい値は無い——論文は No statistical comparisons of AEs between treatment groups were performed と明記している。副次評価項目の努力肺活量(FVC)では、60mg1日1回群が平均+98.4mL(95%信頼区間 10.9〜185.9)の改善を示し、プラセボ群は平均−20.3mL(同 −116.1〜75.6)の低下だった3。ただし用量反応は単調ではない。30mg1日1回群は−27.0mL(同 −88.8〜34.8)でプラセボを下回り、30mg1日2回群は+19.7mL(同 −60.5〜99.9)である。各群は17〜18人で、サンプルサイズは安全性の実行可能性を見る前提で決められており、論文自身が統計的検出力に基づく症例数設計は行っていないと明記している——つまりこのFVC差は有効性を検出する力を持たない設計から出た数字で、信頼区間も広い。さらに、12週のFVCを実測できたのは71人中49人にとどまる。欠測22人の内訳は30mg1日1回5人・30mg1日2回6人・60mg1日1回8人・プラセボ3人で、欠測値は「ランダムに欠測」を仮定した多重代入で補われている——+98.4mLを出した60mg1日1回群は18人中8人が12週の実測を欠くのに対し、プラセボ群の欠測は17人中3人であり、欠測率が群間で揃っていない。12週の完了前に投与を中止した患者は16人(22.5%)にのぼる——プラセボ2人・30mg1日1回2人・30mg1日2回6人・60mg1日1回6人で、12週完了率はプラセボ88%に対し60mg1日1回群は67%である3。なお、このプラセボ群の数字は発表の段階で動いている。Insilicoが2024年11月に出したトップライン発表はプラセボ群のFVC変化を-62.3 mLと公表しており、査読論文の−20.3mLとは3倍の開きがある(60mg1日1回群の+98.4mLは両者で一致する)4。査読論文の側に62.3という数字は現れないため、この差は論文だけを読んでも見えない。食い違いはこの1数値にとどまらない。トップラインは dose-dependent improvement in lung function for all doses と全用量での改善を述べているが、査読論文の30mg1日1回群は先に見たとおりプラセボを下回っている。

「初」という語は、掛かる先を分けて読む必要がある。抄録の「初」は rentosertib に掛かっている。逐語は the first phase 2a multicenter, double-blind, randomized, placebo-controlled trial testing the safety and efficacy of rentosertibrentosertib にとって初のPhase 2a試験という意味だ。ただし本文にはこれとは別に、the first reported instance of AI platform-enabled discovery of both a disease-associated target and a compound for that target という分野水準の主張も置かれている。こちらはPhase 2aの結果についてではなく、標的と化合物を同じプラットフォームで見つけたという発見の経路についての主張である。同じ化合物のPhase 1(NCT05154240)も無作為化・二重盲検・プラセボ対照で、健常者78名を対象にしていた5。いずれにせよ、Phase 2aの結果は仮説ではなく査読済みのデータである。もっとも、査読は利害関係を消さない——この論文はInsilico Medicineが試験スポンサーであり、著者のうち11名が同社の従業員である(原典 Competing interests: Insilico Medicine was the study sponsor)。

同じ論文が示すPhase IIの40%

ここでJayatungaの分析に戻ると、話は単純ではない。Phase IIを完了したAI創薬分子は10品目で、成功は4品目——成功率は40%に下がる1。論文はこの40%について albeit on a limited sample size と明記している。ここで薄いのは患者数ではなくPhase II の読み出しまで進んだ分子の数で、Phase Iの数字ほど確度は高くない。歴史的なPhase II成功率(30〜40%)と比べれば、Phase Iで見えた際立った優位性は消える。もっとも原典は、Phase I・IIのAI分子について oncology particularly prominent, accounting for 50% of AI-discovered molecules in Phase I and Phase II とも書いており、この比較は領域構成を揃えたものではない。数字はいずれも2023年12月時点の集計で、原典は As more data become available in the coming years, these numbers are likely to change substantially と断っている。

ただし原典は、この40%の内訳にも踏み込んでいる。逐語は of the six candidates that were stopped or discontinued after Phase II only two were the result of negative outcome data。Phase II後に中止された6品目のうち、有効性の否定的データで落ちたのは2品目だけである。残る4品目は、事業優先順位の変更・臨床オペレーション上の問題・その他の理由による。論文はさらに、バイオテク企業の資金環境や米国のインフレ抑制法といった要因がポートフォリオの再優先付けを促した可能性を挙げ、それらの判断は unrelated to the underlying AI techniques でありうると注記している。Phase IIについては the proof of a biological or mechanistic concept を伴う段階と位置づけたうえで、40%という数字からは「AIのアルゴリズムは疾患に関連する標的や経路を同定できるが、改善の余地がある」と読むにとどめている。もっとも同じ段落には Also, 'the hard problem of drug discovery', namely achieving clinical efficacy, remains challenging という一文もある。有効性の達成そのものは依然として難しい、ということである。原典はそれを認めたうえで However と接いで先の内訳(6品目中2品目)に入っている。40%を有効性の否定と読み切ることも、有効性の問題ではないと読み切ることも、原典はしていない。

Jayatungaらはさらに、AIのPhase I・IIの実測成功率と歴史的なPhase III成功率を組み合わせ、分子が全臨床フェーズを通過する総合確率を試算している。ただしこれは原典が let us conduct a thought experiment と呼ぶ思考実験である。原典は If we take, at face value, the success rates we observed … and assume that these hold in the future と条件を置く。実測値を額面どおりに受け取り、それが将来も維持されると仮定する、という二重の条件である。その条件下での結果が、歴史的な5〜10%からAI創薬の9〜18%への上昇である。論文はこれを医薬品R&D生産性の「ほぼ倍増」にあたると表現する(原文は仮定法の would represent)。Phase I・IIの実測値に歴史的なPhase III成功率を掛け合わせた試算であり、AIがPhase IIIでも優位を保てるかは未検証のまま残る1。Phase Iの数字だけを見て成功率が上がったと結論づけると、同じ論文の後半部分を見落とすことになる。

二つのレビューが置く留保

2025年から2026年にかけて発表された二つの査読レビュー——いずれも新しい実験データではなく、既存の臨床記録を読み直した論評である——は、異なる角度から同じ結論に収束する。Niazi(2025)はまず、AI創薬分子の progression rates through clinical development remain like those of traditionally discovered compounds という先行分析を引く。臨床開発の進行率は従来型の分子と同程度のままだ、ということである。この観察はNiazi自身のデータではなく、参考文献105すなわち前節で見たJayatungaら(2024)と筆頭・最終著者を共有する同じBCGチームの2022年 Nature Reviews Drug Discovery 論文への帰属である。そのうえで、AIの主な効果は臨床での成功確率そのものを変えることではなく、前臨床段階の探索を加速することにあるかもしれないと述べる(原典逐語 AI's primary benefit may lie in accelerating the preclinical discovery phase6。「臨床開発を完了したAI設計化合物の数はまだ少なく、従来手法と比べた全体的な成功率について確定的な結論を出すのは時期尚早」だと明言し、具体例としてDSP-1181を挙げる。DSP-1181はExscientiaと大日本住友製薬(現・住友ファーマ)が共同創出した化合物で、2020年1月に日本で強迫性障害を初期適応とするPhase I試験の開始が発表された7。Niaziのレビューは、DSP-1181がPhase Iで良好な安全性プロファイルを示しながらPhase IIに進むことなく開発中止に至った、と記述する6。ただしNiaziはこの直後に、中止理由の一般的な型として efficacy endpoints, competitive landscape, and strategic business decisions を挙げている。そしてそれらは rather than issues with the AI-designed molecule itself——AI設計分子そのものの問題ではない——と明記する。もっとも、DSP-1181個別の中止理由がこのどれに当たるのかは公開情報から辿れないままだ。開発データベースの登録も、開発状況を Discontinued(Phase 1)とするだけで、理由の欄は非公開である8。AI設計化合物の第一号が臨床の早い段階で脱落したという事実は動かないが、その個別の理由を語れる資料を本稿は持っていない

Shree HariniとEzhilarasan(2026)はさらに踏み込み、「AI単独で発見された薬剤で正式な規制当局の承認に至った例は、現時点で一つもない」と明記する2。医薬品R&Dの生産性が投資増加にもかかわらず低下し続けるという「Eroom’s Law」(Moore’s Lawの逆)を枠組みに、AIはまだこの傾向を反転させていないと結論づける。データの質とアクセス性の低さ、モデルの解釈可能性の欠如、計算予測と実際の化学的実現可能性のギャップ、そして生物系そのものの複雑さといった課題が、承認までの壁として残っていると指摘する2

何が確立していて、何がまだなのか

主要な四つの論文・レビューを並べると、争いのない部分と争いのある部分が分かれる。争いのないのは、AIが前臨床の探索を加速しているという点である。Niaziはこれを AI の主な効果かもしれないと述べるにとどめる(AI's primary benefit may lie in accelerating the preclinical discovery phase6。一方Shree Harini・Ezhilarasanは AI has significantly accelerated early drug discovery stages と明記する2——承認ゼロを指摘する側の論文が、加速については significantly という語を使っている。Phase Iの成功率が歴史的平均を上回るという報告1はこれと整合し、後者のレビューも臨床入りしたAI関連分子について encouraging early-phase success rates と書く2。ただし母数の薄さから、分子選択そのものが改善したと結論づけるには足りない。rentosertibは、AIが設計した分子が査読付きのPhase 2aまで到達した実例であって3、有効性の証拠ではない。争いがあるのは、この優位性がPhase II以降にも及ぶかどうかである。Jayatunga自身の数字はPhase IIで歴史的平均へ戻ることを示すが、同じ原典は中止6品目のうち有効性で落ちたのは2品目だけだとも書いている1。Shree Harini・Ezhilarasanは承認ゼロという事実を根拠に慎重な立場を取り2、Niaziは自らのレビューを a balanced perspective と位置づけ、rentosertibのPhase 2aを成果に数えたうえで、AIは「補完的なツール」にとどまると結論する6。Insilicoは2026年7月、rentosertibのPhase III(予定登録320人・中国47施設)を開始したと発表したが、これは同社の発表であって第三者による検証ではなく、結果もまだ出ていない9。AIは前臨床の探索を速くしている。だが、それが最終的な成功率を変えているかどうかは、まだ実証されていない。

出典9件
  1. Madura KP Jayatunga, Margaret Ayers, Lotte Bruens, Dhruv Jayanth, Christoph Meier, “How successful are AI-discovered drugs in clinical trials? A first analysis and emerging lessons,” Drug Discovery Today 29(6), 2024. DOI: 10.1016/j.drudis.2024.104009 — 100社超(原典逐語 a compendium of >100 AI-native Biotech companies)のAIネイティブ創薬企業を起点にパイプラインを収集し、2015年以降に臨床入りした75品目のうち2023年時点で試験進行中の67品目を特定した。AI発見標的を持つ分子については品目数を示さず「2023年のパイプラインの30%超」とのみ記す。2023年12月時点でPhase Iを完了したのは24品目でうち21品目が成功——これが80〜90%の分母である。原典が挙げる歴史的なPhase I成功率は40%〜55-65%。Phase IIは完了10品目中4品目成功で40%、原典はこれを「歴史的な業界平均(30-40%)と同水準」と位置づける(論文は albeit on a limited sample size と明記。母数は患者数ではなく分子数)。Phase II後に中止された6品目のうち有効性の否定的データによるものは2品目のみで、残る4品目は事業優先順位・臨床オペレーション・その他の理由(原典は unrelated to the underlying AI techniques でありうると注記)。Phase Iで失敗した3分子でも評価基準未達は1件のみ。Phase I・IIのAI分子は oncology particularly prominent, accounting for 50% of AI-discovered molecules in Phase I and Phase II で、歴史的平均との比較は領域構成を揃えたものではない。原典は成功の判定基準を本文では定義せず方法を補足資料に置き(see supplementary material methods and information online)、方法論上の限界を自ら3点挙げている——うち(ii)は it does not include AI-discovered molecules that originate purely from within larger pharma companies. Our data are therefore not fully exhaustive、(iii)は The categorization of molecules is not mutually exclusive。数字はいずれも2023年12月時点の集計で、原典は As more data become available in the coming years, these numbers are likely to change substantially と断る。新規標的を狙った分子は at least three あり、いずれもPhase Iを通過したと原典は述べ、これを根拠に the high Phase I success rate is not just the result of going after well-validated biology と結論している。AIのPhase I・II実測値と歴史的Phase III成功率を組み合わせると全臨床フェーズ通過の総合確率は5〜10%から9〜18%へ「ほぼ倍増」するが、原典自身がこれを a thought experiment と呼び、実測値が将来も維持されるという仮定を明示している。利益相反: 著者5名全員がBCG従業員、資金はBCGヘルスケア部門(原典 “Competing interests” 節)。https://doi.org/10.1016/j.drudis.2024.104009 2 3 4 5 6 7 8 9 10

  2. [mixed] Karthik Shree Harini, Devaraj Ezhilarasan, “Has AI Reshaped Drug Discovery, or Is There Still a Long Way to Go?” Drug Development Research 87(2), e70257, April 2026 — 10年以上にわたるAI創薬研究と複数のAI関連分子の臨床試験到達にもかかわらず、「AI単独で発見された薬剤が正式な規制当局の承認に至った例は現時点でない」と明記する(no AI-only originated drug has yet achieved full regulatory approval)。医薬品R&Dの生産性低下を示す「Eroom’s Law」を枠組みに、AIはまだこの傾向を反転させていないと論じる。データの質・アクセス性の低さ、モデルの解釈可能性の欠如、計算予測と化学的実現可能性のギャップ、the inherent complexity of biological systems that limit translational success を持続的な限界として挙げる。他方で肯定側の記述もあり、Several AI-guided molecules have progressed into clinical trials, with encouraging early-phase success rates および while AI has significantly accelerated early drug discovery stages と明記したうえで、AIは「単独で完結する解決策ではなく支援ツール」(it remains a supportive tool rather than a standalone solution)だと結論づける。https://doi.org/10.1002/ddr.70257 2 3 4 5 6

  3. “A generative AI-discovered TNIK inhibitor for idiopathic pulmonary fibrosis: a randomized phase 2a trial,” Nature Medicine, published June 3, 2025. DOI: 10.1038/s41591-025-03743-2 — Insilico Medicineの生成AIプラットフォームが標的TNIKを同定し設計したrentosertib(INS018_055)について、特発性肺線維症患者71人・中国21施設を対象にしたランダム化二重盲検プラセボ対照Phase 2a試験(GENESIS-IPF)。主要評価項目は「治療下で発現した有害事象を1件以上経験した患者の割合」で、全群で同程度(実薬 72.2〜83.3%・プラセボ 70.6%)。群間の統計比較は行われておらずNo statistical comparisons of AEs between treatment groups were performed)、あらかじめ定めた合格基準を持つ種類の評価項目ではない。副次評価項目のFVCでは60mg1日1回群が平均+98.4mL(95%CI 10.9〜185.9)の改善、プラセボ群は平均−20.3mL(同 −116.1〜75.6)の低下を示した。用量反応は単調ではない——30mg1日1回群は−27.0mL(同 −88.8〜34.8)でプラセボを下回り、30mg1日2回群は+19.7mL(同 −60.5〜99.9)である。各群の症例数はプラセボ17・実薬各18で、論文は「1治療群あたり約15例あれば真の発現率15%の有害事象を1件以上観測する確率は90%」という安全性の実行可能性評価に基づく設定であり、統計的検出力に基づく症例数計算は行っていないと明記している。12週のFVC実測を欠いたのは71人中22人(30mg QD 5人・30mg BID 6人・60mg QD 8人・プラセボ3人)で、欠測値は imputed using a multiple imputation method assuming missing at random。12週完了前の投与中止は16人(22.5%)で、内訳は 2 from placebo, 2 from 30 mg rentosertib QD, 6 from 30 mg rentosertib BID and 6 from 60 mg rentosertib QD groups(12週完了率はプラセボ88%・60mg QD 67%)。原典は限界として the small cohort size of each arm, the geographical and demographic homogeneity of the participants (all were residents of China of similar race) and a short period of follow-up の3点を挙げる。原典が抄録で「初」と言うのは the first phase 2a であって「初のRCT」ではないが、本文にはこれとは別に the first reported instance of AI platform-enabled discovery of both a disease-associated target and a compound for that target という分野水準の主張も置かれている。利益相反: Insilico Medicine が試験スポンサーであり、著者11名が同社の従業員(原典 “Competing interests” 節: Insilico Medicine was the study sponsor)。https://doi.org/10.1038/s41591-025-03743-2 2 3 4 5

  4. Insilico Medicine, “Insilico Medicine Announces Positive Topline Results of ISM001-055 for the Treatment of Idiopathic Pulmonary Fibrosis (IPF) Developed Using Generative AI”(2024年11月12日)— トップライン発表段階では、プラセボ群のFVC変化を a mean decline in FVC change from baseline of -62.3 mL for patients in the placebo group と公表していた。査読論文(Nature Medicine 2025)では同じ群が−20.3mL(95%CI −116.1〜75.6)に置き換わっている(60mg QDの+98.4mLは両者一致)。査読論文中に 62.3 は現れないため、この差分は論文側からは辿れない。またトップラインは dose-dependent improvement in lung function for all doses とも書くが、査読論文の30mg1日1回群は−27.0mLでプラセボ(−20.3mL)を下回る。企業の自社発表である。https://www.prnewswire.com/news-releases/insilico-medicine-announces-positive-topline-results-of-ism001-055-for-the-treatment-of-idiopathic-pulmonary-fibrosis-ipf-developed-using-generative-ai-302302583.html

  5. ClinicalTrials.gov, NCT05154240 — rentosertib(INS018_055)のPhase 1試験。正式名称は “A Phase 1, Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled, Oral Single and Multiple Ascending Doses, Parallel Group Study to Evaluate the Safety, Tolerability, and Pharmacokinetics of INS018_055 in Healthy Subjects”。登録上も allocation: RANDOMIZED、マスキングは参加者・試験責任医師の二重盲検、群はINS018_055とプラセボ、実登録78名(健常者)。Nature Medicine論文はこの試験の設計を記述していないため、「Phase 1も無作為化・二重盲検・プラセボ対照である」の裏づけはこの登録による。https://clinicaltrials.gov/study/NCT05154240

  6. [mixed] Sarfaraz K. Niazi, “Artificial Intelligence in Small-Molecule Drug Discovery: A Critical Review of Methods, Applications, and Real-World Outcomes,” Pharmaceuticals 18(9), 1271, 2025. PMID: 41011141 — AI創薬分子の progression rates through clinical development remain like those of traditionally discovered compounds と記すが、これは Niazi 自身のデータではなく参考文献105(Jayatunga MKP, Xie W, Ruder L, Schulze U, Meier C, Nat Rev Drug Discov 2022;21:175-176)への帰属であり、同論文は本稿の中心出典 Jayatunga ら(2024)と筆頭・最終著者を共有する BCG チームの仕事である(Jayatunga ら(2024)自身も参考文献10として同じ論文を引いている)。そのうえで、AIの主な効果は臨床成功確率そのものではなく前臨床の探索加速にあるかもしれないAI's primary benefit may lie in…)と述べる。「臨床開発を完了したAI設計化合物はまだ少なく、従来手法と比べた全体的な成功率について確定的結論を出すのは時期尚早」と明言する。ExscientiaのDSP-1181がPhase Iで良好な安全性を示しながらPhase IIに進まず中止された例を挙げるが、その直後に中止理由の一般的な型を efficacy endpoints, competitive landscape, and strategic business decisions とし、rather than issues with the AI-designed molecule itself と明記している。多くの「成功」事例が事前予測ではなく事後的な検証である、という点は Niazi 自身の主張ではなく批判者の見解の紹介である(However, critics note that many "successes" are retrospective, with prospective validation rarer)。著者は本レビューを a balanced perspective と位置づけ、rentosertibを positive Phase IIa results として成果に数えている。結論としてAIは「補完的なツール」であり、パラダイムシフトではないとする。なお本レビューはDSP-1181の標的を5-HT2Aと記すが、一次資料(大日本住友製薬・Exscientia の2020年1月30日リリース)では5-HT1A受容体アゴニストである。https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12472608/ 2 3 4

  7. 大日本住友製薬・Exscientia 共同リリース “Sumitomo Dainippon Pharma and Exscientia Joint Development New Drug Candidate Created Using Artificial Intelligence (AI) Begins Clinical Study”(2020年1月30日)— 逐語 a phase I clinical study of DSP-1181, that was created using Artificial Intelligence (AI), has been initiated in Japan for the treatment of obsessive-compulsive disorder as an initial indicationDSP-1181 was created through the joint research by Sumitomo Dainippon Pharma and ExscientiaDSP-1181 is being progressed as a long-acting and potent serotonin 5-HT1A receptor agonist。共同創出・開始時期・適応・標的の一次資料はこれであり、Niaziレビューには「Sumitomo」の語が一度も現れない。https://www.sumitomo-pharma.com/news/assets/pdf/ene20200130.pdf

  8. Synapse (PatSnap) 医薬品開発データベース「DSP-1181」項目 — Exscientiaと大日本住友製薬(現・住友ファーマ)が共同開発した5-HT1A受容体アゴニスト。開発状況は中止(Discontinued, Phase 1)。中止理由の欄はログインしないと閲覧できず、公開部分に理由の記載はない(閲覧時点で確認)。またこれは PatSnap のアグリゲータ記録であって一次資料ではなく、公開部分でDSP-1181の中止に触れている唯一の説明文は Niazi レビューの要約(DSP-1181 was discontinued after Phase I, despite a favorable safety profile)の転載=Niazi と食い違う記録ではない。中止理由の裏取りには使えないため、開発状況の登録という限度で引く。https://synapse.patsnap.com/drug/a785db59b5d54d209ddfe8619dfcc2b0

  9. Insilico Medicine, “Insilico Initiates Phase III Clinical Trial for Rentosertib, Its AI-Empowered TNIK Inhibitor for Idiopathic Pulmonary Fibrosis” (2026-07-07). 予定登録320人・中国47施設(逐語 is expected to enroll a total of 320 participants across 47 centers in China で、実登録数ではない)。設計は前向き・無作為化・二重盲検・プラセボ対照・並行群間で、主要評価項目は52週にわたる努力性肺活量の年間低下率(逐語 The primary endpoint is the annual rate of decline in forced vital capacity (FVC) over 52 weeks)。リリース自身が over a longer treatment period than the Phase IIa study と述べ、Phase 2aの12週という短さを対比している。企業の自社発表であり第三者検証ではない——後期試験への到達を示す事実として引き、有効性の根拠としては引いていない。https://www.prnewswire.com/news-releases/insilico-initiates-phase-iii-clinical-trial-for-rentosertib-its-ai-empowered-tnik-inhibitor-for-idiopathic-pulmonary-fibrosis-302819553.html

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