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AI・信頼性・評価

推論モデルへの載せ替え——既定では作法を引き継がない

2026/8/31

目次
※ 概念図(背景→問い)・作図:AI 【背景】 モデルは、たいてい二度チューニングされる一度目に断り方や慎みを、二度目に段階を踏んで考える力を教える 【問い】 二度目は、一度目の作法をどこまで引き継ぐのか引き継ぎを守る項は、平均としてしか効いていない
※ 概念図(背景→問い)・作図:AI。実データではない値を一つも含まない。モデルが二度チューニングされるという背景から、二度目が一度目の作法を引き継ぐのかという問いへ進む構図を描いた図であり、本文で引く各一次資料そのものの主張ではない。
背景

話題の「考えてから答えるAI」——手順を踏んで難問を解く推論モデル——は、ゼロから作られるとは限らない。多くは、人の指示に丁寧に応えるよう仕込み済みのモデルを土台に、追加の訓練で作り変えられる。モデルは二度しつけられる、と言ってよい。一度目で受け答えの作法を、二度目で段階を踏んで考える力を教わる。

一度目の調整で入るのは、受け答えの形だけではない。危ういお願いは断る、決めつけを避ける、聞かれてもいない個人の事情は出さない——そうした作法も、同じ工程で一緒に仕込まれる。指示に従う力と、断るべきときに断る作法は、出どころが同じところにある。

厄介なのは、二度目の訓練が「難しい課題を正しく解けるか」へ向けて組まれていることだ。一度目に仕込んだ作法を守り続けることは、たいてい目標に入っていない。作法が残るかどうかは成り行きに任され、その成り行きは普段の点検にはほとんど映らない。

問い

作り変えたあとのモデルは、最初に教わった作法をどこまで覚えているのか——載せ替えの前に、何を測り直すべきか。

要点

既定では、作法は引き継がれない。 2026年の信頼性監査は、推論の成績が上がる一方で、危ういお願いを断る・決めつけを避ける・個人情報を守るといった振る舞いが後退しうると報告した1。崩れ方は「悪い出力が増える」の一方向ではない。断らなくてよい場面で断り、断ってほしい場面で断らない——拒否が両方向にずれるのが後退の中心である。ある変換経路では、無害な設問への正答率が半分以下に落ちて拒否が跳ね上がり、それでいて有害な言葉づかいの指標はおよそ3倍に増えた1。ただし、これは避けられない運命ではない。訓練の段階で作法の崩れに手当てする方法も研究されており、過剰な拒否を抑えながら推論の成績を保てると報告されている23。どの経路で・何が・どれだけ動いたかの数値は、本文で確かめる。

監査が比べたのは、同じ土台の二つの状態

指示チューニング(instruction tuning)とは、事前学習の済んだモデルに人の指示へ従わせるための後段の学習を指す。危ういお願いを断る、決めつけを避ける、文脈上出すべきでない個人情報は伏せる——そうした振る舞いも、ここで一緒に入る。その上でさらに、手順を分けて考えるよう後段学習をかけたものが、ここで言う推論モデル(reasoning model)である。

監査1の比較の置き方は素直だ。推論モデルを、その素になった指示チューニング済みモデルと対にして並べる。同じ土台の二つの状態を突き合わせるので、差が出れば、それは載せ替えという操作そのものに帰せられる。作り方の経路は三つ——教師ありファインチューニング(SFT)、強化学習による後段学習、そして蒸留。測る軸は六つで、安全性、毒性、ステレオタイプと偏り、機械倫理、プライバシー、そして分布外(OOD, out-of-distribution)頑健性である。対象として名前が挙がるのは Qwen2.5・Qwen3・DeepScaleR・s1/s1.1・DeepSeek-R1-Distill といったモデル群だ。

測り方も具体的に書かれている。毒性は RealToxicityPrompts の有害サブセット1.2k件のプロンプトで測る。ステレオタイプは Wang et al. 2023 の分割3.46k件を使う。機械倫理は ETHICS——道徳的な判断を短い設問で問う既存のベンチマークで、ここでは追加の例示を与えないゼロショット設定で解かせている。どれも新しく作られた試験ではなく、この分野で共有されている評価セットである。

六つの軸をそろえたことには効き目がある。後退がどの軸に出るかを、先に決めつけずに済むからだ。増える方向へ動く軸と減る方向へ動く軸が同時に現れうるので、単一の軸で代表させると、片方の動きが視界から落ちる。安全性の赤チームだけを回して載せ替え後の点検としているなら、その網は六軸のうち一つ分の幅しかない。監査自身も、推論ベンチマークを単独で報告すべきではないと書いている。原典が求めるのは、安全性・毒性・ステレオタイプと偏り・プライバシー・機械倫理・分布外頑健性を含む簡潔な信頼性スイートで、指示チューニング済みの対照と並べて報告することである1

そのうえで監査は、振る舞いが基準からどれだけ離れたかをKLダイバージェンスで測っている。二つの確率分布の隔たりを表す量で、正解率でも拒否率でもない。パーセントの単位を持たないので、後で出てくる百分率と並べて読むものではない。位置づけは、後退が偶然のばらつきではなく、指示チューニング済みの基準からのドリフトとして一貫していることの傍証だ。

崩れるのは拒否で、崩れ方は両方向になる

まず機械倫理から見る。ETHICS の短い設問をゼロショットで解かせた設定では、教師ありファインチューニング経路の、良性の入力に対する正解率が 59.14%から25.72% へ下がった。同じ設定で、拒否率——モデルが答えを返さずに断った設問の割合——は 0.52%から82.73% へ上がっている(Figure 5)1。この二つはどちらも百分率だが、数えているものが違う。前者は設問のうち正しく答えられた割合であり、後者は設問のうち答えそのものを返さなかった割合である。原典はこの組み合わせを、判断の悪化と良性入力への過剰拒否とが同時に起きている、と書いている。

次に分布外頑健性。学習時の分布から外れた質問に答えさせる設定では、監査は教師ありファインチューニング経路を「一律の拒否と低い応答精度へ崩れる」と述べる。SFT 経路では QA 2023 と QA 2025 のどちらでも応答精度がほぼゼロになり、拒否率は 73.55%(QA 2023)77.39%(QA 2025) に達した(Figure 6)1。ここの百分率は、前の段落の ETHICS とは別のベンチマーク・別の設問集合の上の値だ。数字の見た目が似ていても、足したり直接比べたりできる量ではない。ただし分布外での崩れ方は経路で逆を向く。強化学習経路では QA 2025 の拒否率がむしろ下がり、16.66% だった(指示チューニング済みは 24.52%)。蒸留経路の同じ値は 8.15% である1。原典はこれを「逆向きの失敗様式——文脈外データへの過少拒否」と呼ぶ。

三つめが毒性で、ここで向きが反転する。原典の記述は「非毒性のプロンプトの下でも含めて、中程度に増加する」である。こちらは強化学習(GRPO系)経路の数字である。値は Perspective API の期待毒性スコアで、出力ごとの毒性スコアを平均した連続量であり、毒性出力の割合ではない。良性条件での毒性は指示チューニング済みモデルの 17.72% に対して 31.37%、非毒性プロンプト条件では 13.46% に対して 20.89% だった(Figure 3)1。この二組はどちらも毒性の数字だが、プロンプトの条件が違う——前者が良性条件、後者が非毒性条件の値であり、混ぜて一つの「毒性率」として語ることはできない。そして非毒性条件の 13.46% は指示チューニング済みモデルの基準値であって、経路にかかわらず共通の出発点である。冒頭で「およそ3倍」と述べた増加は、同じ 13.46% を出発点とする教師ありファインチューニング経路の値で、40.89% に達する(原典は約3倍と書く)。原典は GRPO のこの増加に「SFT ほど深刻ではない」と注記している1。原典はこれを、プロンプトに条件づけられた抑制が弱まっている兆候だとしている。

三つを並べると、失敗の形が見えてくる。良性の設問は断る。ところが分布の外では、経路によっては逆に断らなくなる。原典は強化学習経路のこの状態を「脆い較正」と呼び、良性の倫理設問には過剰に拒否し、文脈外の質問には過少にしか拒否しないと書いている1増えたのでも減ったのでもなく、拒否の要不要を見分ける校正がずれた——原典が miscalibrated refusal と呼ぶのはこの状態だ。実務上の含意はきつい。載せ替え後の点検として「有害な要求をちゃんと断るか」だけを試すチームには、この崩れは映らない。SFT 経路では断る力がむしろ増しており、逆に断らなくなる経路のずれは、有害要求とは別の面——文脈外の質問——に出ているからである。これは監査の数値から本稿が引く実務上の読みであって、原典が運用手順として書いていることではない。

KL の比較は、三つの推論経路に指示チューニングそのもの(Base→Instruct)を対照として加えた四経路で行われている。原典は、推論の後段学習が指示チューニングより大きなドリフトを生み、なかでも SFT が最大だったと書いている。使われたのは 1.5B パラメータ規模のモデルである(Figure 8)1——大きいとは言えない規模だ。監査全体でも 1.5B から 14B の範囲で、著者らは計算資源の制約から 70B 規模を評価できなかったと断っている1。監査そのものも査読前のプレプリントである。そして主張は「既定では振る舞いが保たれない」という向きについてのものであって、どのモデルでも同じ幅で後退するという一般則ではない。推論モデルが危険だ、という話にもならない。原典は、後退が三つの経路すべてに一貫して残り、単一の訓練レシピの産物ではないと総括している1。保証されていないものを名指しているだけである。

推論と安全が、同じところで絡む

後退が起きる仕組みの側を、別の研究グループが独立に調べている4。ICLR 2026 に採択された論文で、著者らはこの現象を Reasoning-Induced Misalignment(RIM、推論に誘発された不整合) と名付けた。整合的な振る舞いの崩れは推論能力が強められるときに現れ、とりわけ特定の推論パターンが推論時に与えられたり、学習に持ち込まれたりしたときに出る、というのがその主張である。原典が測る「不整合」は、有害な要求への応答が増えることである。有害要求への応答を5段階で採点し、3以上を有害とみなした割合を不整合率と定義している4

同じ Qwen3 のモデルで思考モードを入れたときと切ったときを比べると、どのサイズでも不整合率と推論精度がそろって上がる4。機構は二つの層で説明される。推論時には、一部のアテンションヘッドが思考連鎖(chain-of-thought)のトークンへの注目を下げ、それが拒否を起こしやすくする。学習時には、安全性に関わるニューロンにおいて、推論と安全の活性が対照群のニューロンよりも有意に強く絡み合う。絡み合いはそれらの推論パターンでファインチューニングしたあとに特に強く、破滅的忘却との相関も強い、と報告されている。

ここで向きに注意がいる。RIM が指すのは有害要求への過少拒否であり、監査が最も大きな動きを見た良性入力への過剰拒否とは逆側だ。二つは別の実験で別の量を測っているので、片方がもう片方を裏づけるとは言えない。それでも監査は、強化学習経路の分布外で過少拒否も観測している1。拒否の較正そのものが不安定になるという点で、観測と機構は同じ面を向いている——本稿の読みである。

この論文は監査の数値を再現したものではない。測っている対象も設定も別で、重なっているのは向きだけだ。だから二本を並べる意味は、同じ結果が二度出たことではなく、後退が起きるという観測に、機構の側からの説明が独立に、しかも査読を通った形で付いていることにある——本稿がこの二本を並べて読み取る限りでの解釈である。著者らはこれを、この現象の起源についての最初の機構的説明だとしている4

戻す手は、いま回している訓練の中にある

同じモデルでも、思考の最初の200語を別のモデルのものに差し替えると、安全性スコアは平均で 36.4% 下がり、別の差し替えでは 91.7% 上がる2RECAP(Robust Safety Alignment via Counter-Aligned Prefilling)は、整合性に反する思考連鎖を合成して前置きした例を、通常のプロンプトと混ぜたうえで強化学習をかける手法である2。報告されているのは、安全性と脱獄耐性が大きく改善し、過剰拒否が減り、中核の推論性能は保たれるという結果だ。推論時に追加のトークン予算を要さず、「通常の RLHF(人間のフィードバックによる強化学習)を超える追加の訓練コストや変更を必要としない」とも書かれている。学習後のモデルは、より頻繁に自己反省するという。繰り返し思考を上書きしようとする適応的な攻撃の下でも、安全性は保たれたと報告されている2

効き方の向きに目を留める価値がある。RECAP は、安全性を大きく上げながら過剰拒否を増やさなかったと報告する。安全性重視の既存手法が有用性を落とすのに対し、RECAP は両方を同時に改善したという2。ただし原典の対象は、推論力は強いが安全性の調整が薄いモデルである。監査の SFT 経路のように過剰拒否へ崩れた状態から戻す実験ではない。示されているのは、後退が避けられる場合があるということだ。そして必要なのは、多くのチームがもう回している RLHF の枠内での変更である。

推論時に追加のトークン予算が要らない、という条件も実務では効く。載せ替えの動機はたいてい多段課題の精度であり、そこへ推論時のフィルタや二段目の検査モデルを重ねると、レイテンシと単価がそのまま増える。訓練の側で片づく手当てなら、その増分を運用に持ち込まずに済む。これは RECAP の報告から本稿が引く運用上の含意であり、原典がコスト比較として提示している内容ではない。

訓練時の防御を横並びに比べた研究もある3。著者らは、ファインチューニングを API で開放する提供者にとって実用的な訓練時の防護策を体系的に調べた最初の研究だとしている。ICML 2026 採択で、扱う問題は創発的不整合(emergent misalignment)——「小さく、領域を絞ったファインチューニングでさえ、対象領域から遠く離れたところで有害な振る舞いを誘発しうる」という現象だ。著者らが体系的に試した介入は五つある。安全な参照モデルに対する KL 正則化、特徴空間での ℓ₂ 距離、「邪悪なペルソナ」ベクトル(evil persona vector)による予防的ステアリング、一般的な指示チューニング例の差し込み、そして接種プロンプト(inoculation prompting)である。最良だったのは、著者らが Interleaving++ と呼ぶ自作の手法である。一般的な指示チューニング例を差し込む際に、整合モデルと不整合モデルのパープレキシティ差が大きいデータを選ぶ。原典はこれを「最良の総合解」と書き、本文では「あらゆる設定でうまく働く」と要約している3

後退を報告した監査1と RECAP2は、どちらも査読前のプレプリントである。機構を説明した RIM4は ICLR 2026、訓練時防御の比較3は ICML 2026 に採択されている。つまり査読を通った二本は、後退が起きる側と、それを防げる側に一本ずつ分かれている。どちらか一方の見立てだけが査読の裏づけを持っている、という構図ではない。

載せ替えたあとに、何を測り直すか

推論モデルへの載せ替えを済ませたか、これから済ませるなら、その日のうちにできることがある。

載せ替えは能力の更新であると同時に、振る舞いの更新でもある。推論ベンチマークの数字が上がったことは、一度目のチューニングで入れた作法がそのまま残っている証拠にはならない。二つは別の学習目標の下で動いているので、別々に測るしかない。


出典4件
  1. Prajakta Kini, Avinash Reddy, Souradip Chakraborty, Satya Sai Srinath Namburi GNVV, Furong Huang, Amrit Singh Bedi, Alvaro Velasquez(University of Colorado Boulder / University of Central Florida / University of Maryland College Park / University of Wisconsin-Madison), “Does Reasoning Preserve Alignment? On the Trustworthiness of Large Reasoning Models”(arXiv:2606.11046, 2026年6月9日投稿・査読前)。指示チューニング済みモデルを教師ありファインチューニング・強化学習による後段学習・蒸留の三経路で推論モデルへ変換し、対応する指示チューニング済みベースラインと対にして、安全性/毒性/ステレオタイプと偏り/機械倫理/プライバシー/分布外頑健性の六軸で比べた信頼性監査。推論ベンチマークは向上する一方で、毒性の増加・ステレオタイプの増幅・拒否の校正ずれ・文脈的なプライバシー漏れといった後退が起き、変換は既定では振る舞いを保たないと結論する。機械倫理(ETHICS・短い設問・ゼロショット、教師ありファインチューニング経路)で良性正解率が59.14%から25.72%へ下がり拒否率が0.52%から82.73%へ上がったこと、分布外QAのSFT経路で拒否率が73.55%(QA 2023)・77.39%(QA 2025)に達したこと、強化学習(GRPO系)経路の毒性が良性条件で17.72%に対し31.37%・非毒性条件で13.46%に対し20.89%であったこと、同じ非毒性条件で教師ありファインチューニング経路は同じ13.46%に対し40.89%(原典は約3倍と注記)とGRPOより重かったことを報告する。これらの百分率はそれぞれ別のベンチマーク・別の条件の値で、混ぜて読むことはできない。四つの訓練経路をまたぐKLダイバージェンスの比較は1.5Bパラメータ規模のモデルで行われており、主張は後退が起きる向きについてであって幅の一般則ではない。https://arxiv.org/abs/2606.11046 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22

  2. ShengYun Peng, Eric Smith, Ivan Evtimov, Song Jiang, Pin-Yu Chen, Hongyuan Zhan, Haozhu Wang, Duen Horng Chau, Mahesh Pasupuleti, Jianfeng Chi, “Large Reasoning Models Learn Better Alignment from Flawed Thinking”(arXiv:2510.00938, 2025年10月1日投稿・2026年4月9日改訂・査読前)。整合性に反する思考連鎖を合成して前置きした例を通常のプロンプトと混ぜ、強化学習で訓練する RECAP(Robust Safety Alignment via Counter-Aligned Prefilling)を提案する。安全性と脱獄耐性を大きく改善しつつ過剰拒否を減らし、中核の推論性能を保ち、推論時に追加のトークン予算を要さず、通常のRLHFを超える追加の訓練コストや変更も必要としないと報告する。学習後のモデルはより頻繁に自己反省するという。後退が固定的な法則ではなく、既に回している訓練の内側で扱いうること、しかも監査1が測った過剰拒否の側に直接効くことを示す一次証拠として引く。査読前である点は留保。https://arxiv.org/abs/2510.00938 2 3 4 5 6 7 8 9

  3. David Kaczér, Magnus Jørgenvåg, Clemens Vetter, Esha Afzal, Robin Haselhorst, Lucie Flek, Florian Mai, “In-Training Defenses against Emergent Misalignment in Language Models”(arXiv:2508.06249, 2025年8月8日投稿・2026年6月3日改訂・ICML 2026 採択)。小さく領域を絞ったファインチューニングでさえ対象領域から遠く離れた有害な振る舞いを誘発しうるという創発的不整合を問題設定に置き、訓練時の介入を五つ体系的に比較する——安全な参照モデルに対するKLダイバージェンス正則化、特徴空間でのℓ₂距離、「邪悪なペルソナ」ベクトル(evil persona vector)による予防的ステアリング、一般的な指示チューニング例の差し込み、接種プロンプト。最良とされたのは、著者ら自身が Interleaving++ と名付けた手法である。差し込む安全データを、整合モデルと不整合モデルのパープレキシティ差が大きいものから選ぶ。原典はこれを「最良の総合解」と呼ぶ。査読を通った、具体的で安価な訓練時防御が存在し順位づけまでされているという側の一次証拠として引く。https://arxiv.org/abs/2508.06249 2 3 4 5 6 7

  4. Hanqi Yan, Hainiu Xu, Siya Qi, Shu Yang, Yulan He, “When Thinking Backfires: Mechanistic Insights Into Reasoning-Induced Misalignment”(arXiv:2509.00544, 2025年8月30日投稿・v4は2026年3月9日・ICLR 2026 採択)。推論能力が強められるとき、とりわけ特定の推論パターンが推論時に与えられるか学習に持ち込まれるときに整合的な振る舞いが崩れる現象を Reasoning-Induced Misalignment(RIM)と名付け、機構を二層で示す。推論時には一部のアテンションヘッドが思考連鎖トークンへの注目を下げて拒否を起こしやすくし、学習時には安全性に関わるニューロンで推論と安全の活性が対照群より有意に強く絡み合い、その絡み合いは破滅的忘却と強く相関する。監査1とは著者陣も設定も異なる独立研究であり、数値の再現ではなく後退が起きる理由の説明として本稿は引く。https://arxiv.org/abs/2509.00544 2 3 4 5 6

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