シミュレーション・制御・実機
フィジカルAIのボトルネックはデータの蛇口の不在である
目次
「ロボティクスにもGPTの瞬間が来る」という話を最近よく聞く。基盤モデルを大量データで訓練すれば、汎用ロボットが一気に立ち上がる、という筋書きだ。だが、この比喩は一番肝心なところで壊れている。
GPTを作ったのはモデルではなく、蛇口だった
GPTを可能にしたのは、Transformerの賢さだけではない。インターネットという、ほぼ無料で、桁違いに大きく、すでにデジタル化された「データの蛇口」があったことが本質だ。スケール則は、言語モデルの性能がモデル規模・データ量・計算量に対して滑らかに向上するという実測則である1。この則が効いたのは、スケールさせる燃料がタダ同然で手に入ったからだ。どれくらい「タダ同然」かは、公開コーパスの作られ方に表れている。Hugging FaceのFineWebは、既存のWebクロール(Common Crawl)96回分のスナップショットを濾過して、15兆トークンの学習コーパスを取り出した2。この15兆トークンのために、誰も新しくデータを「収集」していない。人類が何十年もWebに垂れ流してきた文章・コード・画像という活動の副産物が、すでにそこに溜まっていた。
物理の世界には、この蛇口がない。ロボットが「物を掴んで動かす」軌道データは、ネット上に転がっていない。誰かが実機を動かし、1試行ずつ集めるしかない3。しかも学習に載るのは成功した試行で、失敗した試行は集めても数に入らず4、リセットや操作ミスに溶けた実時間はそもそもデータにならない5。しかも集めたデータの大半は、別の機体・別のグリッパー・別のカメラ位置にはそのままでは移しにくい。embodimentが変われば分布が変わるからだ。RT-1の著者らは、別機体(Kuka)のデータだけで学習した方策を自機体で走らせると成功率0%だったと報告している3。ただし同じ論文は、そのデータを自機体のデータに混ぜると bin-picking の成功率が22%から39%へ上がったとも報告している3。機体をまたいだ転移自体は実証されつつあるが、いまのところ限定的だ6。テキストの「次トークン予測」のような、機体をまたいで直接共有できる普遍的なインターフェースは、まだ存在しない。
蛇口の細さは、数字に出る
この非対称は印象論ではなく、実際の収集記録で確かめられる。RT-1の訓練データは、13台のロボットが約17か月かけてテレオペで集めた約13万デモだ3。多機関連携のDROIDでは、北米・アジア・欧州にまたがる50人の収集者が12か月かけて、76,000軌道の操作データを564シーン・86タスクで集めた。時間にして350時間分である4。50人がかりで、350時間。しかもこの350時間は成功した試行だけの合計だ。原典は、別に約16,000の試行を「失敗」と記録したうえで、公開データには含めるが350時間には数えていないと書いている4。一方のテキストは、既存クロールを濾すだけで15兆トークンである2。トークンと時間は単位が違うから、この二つを割り算しても意味のある倍率は出ない。濾過そのものが無料なわけではない。原典は、できあがった15兆トークン全体に教育性の分類器を1回通して部分集合(FineWeb-Edu)を切り出す追加工程だけで、6,000 H100 GPU時間を要したと書いている2。ただしそこに張り付くのはGPUの時間であって、人間の実時間ではない。並べて見えるのは量の差ではなく集まり方の差である。片方は人類の活動の副産物として勝手に溜まり、もう片方は人が目的を持って付きっきりで生む。
収集ハードの低価格化は進んでいる。スタンフォードらのALOHAは、両腕の遠隔操作システムを約2万ドルで組めることを示した5。著者らの言い方では、産業用アーム1本と同程度である。だが同じ報告は、もう一つの数字も示している。1タスクの学習に使ったのは50〜100回の人間の実演、データにして各タスク10〜20分ぶんで、それで6つの精密タスクを学習できた5。ただし成功率はタスクによって違う。著者らが要旨で例に挙げた瓶蓋開けとバッテリ挿入は84〜96%だが、最も難しいベルクロ通しは20%にとどまる。少ないデモで学べること自体は朗報だ。それでも、その10〜20分ぶんのデータを生むのに、リセットや操作ミスを含めて人間は30〜60分張り付いている。装置が安くなっても、1試行ごとに人間の実時間が張り付く構造は変わらない。
ボトルネックはパラメータ数ではない
だからボトルネックはパラメータ数ではなく、(1) データの量と多様性、(2) sim-to-realのギャップだ。シミュレータは無限にデータを生むが、接触・摩擦・変形・センサノイズといった現実の細部を取りこぼす。取りこぼしの大きさは、シミュレータの中だけでは分からない。同じタスクを実機でも走らせて、初めて数字になる。埋めるには見えの側のドメインランダム化や、力学そのものを実機で測り直す手当て・実機での微調整が要り7、結局また高価な実データに戻ってくる。RT-XやOpen X-Embodimentのような「データを持ち寄る」試みは、22種の機体・527スキル・16万タスクを21機関で統合した。方向としては正しいが、テキストのコーパスに比べれば桁が何個も足りない6。
π0の実測では、タスクごとに5〜100時間を積む
OXE を学習に取り込んだ別系統の取り組みも、この蛇口の細さを裏付けている。Physical Intelligence社の汎用ロボット方策 π0(パイゼロ)は、7構成の自社ロボットプラットフォーム(単腕・双腕・移動式)を主軸に、Open X-Embodiment を含む公開データを、学習混合のタイムステップ数で9.1%として組み合わせた汎用基盤モデルだ。自社で集めたぶんの大きさは、論文自身が書いている。事前学習に使った器用操作データは68タスク・約10,000時間あり、これに OXE などを足した混合が、著者らの知る限りロボット操作モデルに使われた事前学習混合として史上最大だという8。50人がかりで集めたDROIDの350時間と並べると、汎用方策を1本作るために、企業はその29倍近くを自前で掘っていたことになる。著者ら自身の報告によれば、下流タスクへの特化に使ったデータ量は、最も単純なタスクで5時間、最も複雑なもので100時間以上と幅がある8。これは「新タスクに最低5時間要る」という床ではない。同じ論文は、微調整データを1・5・10時間と振った比較も載せ、「一部の易しいタスクは少量のデータでも学べる」と書いている。ただしタスクによる差が大きく、少量側で足りるのは一部にとどまる8。それでも、テキストのファインチューニングが数行のプロンプトや無料に近いAPI呼び出しで済むのとは、コストの桁が違う。しかも、その数時間から百時間はロボット・人手・撮影環境を用意して初めて集まる時間であって、待っていれば勝手に増えるものではない。ネットに溜まったテキストとは、集まり方の性質そのものが違う。
候補の蛇口は、人間の動作、シミュレーション、転移表現の三つだ
煽りを抜きにして言えば、「瞬間」が来るとすれば、それは新しい蛇口が掘り当てられたときだ。いま掘られている経路は三つある。
一つ目は、人間の日常動作から汲む経路。 人間の一人称映像は、動員できる人数の桁が違う。Ego4Dは、931人の装着者が74か所・9か国で撮った3,670時間の日常生活映像を、2年がかりで集めた9。ロボット側の「50人で350時間」4に対し、総量では10倍だ。ただし「2年」はプロジェクト全体の期間であって、装着者ひとりの従事期間ではない。原典は参加者が「一度に1〜10時間」カメラを着けたと書き、Bristol拠点の記録では録画期間2週間・一人平均3.0時間である9。一人あたりの総量で並べると Ego4D は931人で3,670時間=約3.9時間/人、DROID は50人で350時間=7.0時間/人(失敗ぶんを数えていないので下限だ)で、同じ桁だ。総量の10倍を生んでいるのは一人あたりの速さではなく、ロボットが要らないぶん装着者を931人まで増やせたことのほうだ。そしてこの映像には、関節への指令や力の情報といった、ロボットが真似るための行動信号が入っていない。全編にナレーションが付き、一部にIMU(836時間)や視線(45時間、2拠点のみ)も付いてはいるが、いずれも関節指令や力に翻訳できる信号ではない。UMIのように、ロボット本体を使わず手持ちグリッパで人間の実演から操作データを直接集め、実機ポリシーへ転移させる経路が、この穴を埋めにいく10。原典は3人が12人時で1,400実演を30か所から集め、未見の2環境で成功率71.7%を報告している10。ただし収集には SLAM が効く程度のテクスチャが要り、実演の速さは素手に及ばないと原典自身が書いている10。
二つ目は、シミュレーションで増やす経路。 増幅の技術は実在する。MimicGenは、約200件の人間デモを種に、シーン構成・物体・アームを変えながら18タスク・5万件超のデモを自動合成した11。ただしその18タスクのうち16はシミュレータ上のもので、5万件超のほぼ全部がシミュレーション側で生まれている。同じ手法は実機でも動いており、10件の実演を種にStackで200件・Coffeeで100件を生成している。ただし生成の成功率は82.3%(243試行)と52.1%(192試行)で、実機側では結局また試行の実時間が要る11。つまりこの経路は、蛇口の口径は広げるが、水源が現実の物理そのものではないという留保を引き継ぐ。接触や摩擦の細部のズレは残り、見えの側のドメインランダム化7では届かないぶんを、実機での測り直しや微調整で埋める作業に戻ってくる。
三つ目は、embodimentを越えて転移する表現の確立。 機体Aで集めたデータが機体Bの学習にそのまま効くなら、機体ごとに分断された細い流れを一本にまとめられる。Open X-Embodimentの著者らは機体をまたぐ正の転移を報告しているが、いまのところ限定的だ6。集まった機体は22種だが、転移を測った実験の学習混合に載ったのは9機体である6。テキストの「次トークン予測」に相当する共通インターフェースの候補は、まだ定まっていない。そもそも「汎化した」と言えるかの物差しも揺れている。標準ベンチ LIBERO で90%超を出すモデルが、物体の初期位置をずらしたり既知の動作を組み替えたりするだけで0.0%まで落ちたという監査がある12。同じ監査では、指示を壊しても成功率はほとんど落ちない。物体そのものの差し替えにも、初版が測った3モデルは4スイート中3スイートで動じなかった。ただし改訂版の主要結果の図には6モデルが並んでおり、あとから加わった3本は物体を差し替えると libero-goal で58〜68%まで落ちる。いずれも特定ベンチ上の監査であって、実世界での能力の否定ではない12。著者らは、物体や指示を変えても落ちないことのほうを頑健さではなく、動作系列を丸暗記しているがゆえの見せかけだと読む。
蛇口が開いたと言える条件は、観測可能な三つの信号だ
この記事の見立ては、ボトルネックがモデルサイズではなく、データの蛇口だというものである。これを反証可能な主張として置いておきたい。次の信号が観測されたら、蛇口は開き始めたと判断してよい。
- 新タスク適応のデータ量が、桁で落ちる。 π0が「一部の易しいタスクは少量のデータでも学べる」と書く水準(微調整1時間ぶん)からさらに一桁下、あるいはゼロショットで、同等に複雑なタスクが立ち上がるという測定を、複数の独立チームが再現すること8。
- 機体またぎの転移が、「限定的」から「既定」になる。 新しい機体の立ち上げに、その機体自身の実機データがほとんど要らなくなったという測定を、開発元以外のチームも追試すること6。
- 人間映像やシミュレーション由来の事前学習が、実機の成功率を動かす。 実機データを追加せずに、事前学習の寄与だけで実機での成功率が上がったことを、切り分けた実験が示すこと。
逆に、これらが観測されないまま数年が過ぎ、依然としてタスクごとに数十時間の実機収集が要るなら、それは少なくとも現行の路線では、モデルの大型化だけでは解けなかった制約だ、ということになる。
物理AIの進歩は、賢いアーキテクチャの発明より、「データの蛇口を新しく掘る」作業にかかっている。上の三つの経路は、どれもその掘削作業だ。モデルを大きくすれば勝手に解ける、という話ではない。大型化だけでこのボトルネックは解けない。
出典12件
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“Scaling Laws for Neural Language Models”(Kaplan ほか, OpenAI, 2020)。言語モデルの性能がモデル規模・データ量・計算量のべき乗則で滑らかに向上することを実証。https://arxiv.org/abs/2001.08361 ただし Kaplan ほかは同じ計算量ならモデルを大きくする側に寄せており、
Big models may be more important than big data.と書く。データ側に重みを移したのは Hoffmann ほか “Training Compute-Optimal Large Language Models”(Chinchilla, DeepMind, 2022)である。https://arxiv.org/abs/2203.15556 同論文はthe model size and the number of training tokens should be scaled equallyと結論しており、スケールの「燃料」にデータを数える根拠はこちらにある。 ↩ -
“The FineWeb Datasets: Decanting the Web for the Finest Text Data at Scale”(Penedo ほか, Hugging Face, NeurIPS 2024 Datasets and Benchmarks Track)。Common Crawl の96回分のスナップショットを濾過して15兆トークンの公開学習コーパスを構築=Webテキストは「すでにあるものを濾す」だけで兆単位に達することの根拠。https://arxiv.org/abs/2406.17557 ↩ ↩2 ↩3
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“RT-1: Robotics Transformer for Real-World Control at Scale”(Brohan ほか, Google, 2022)。同論文は、人の遠隔操作によらない実機データも扱っている。QT-Opt が強化学習エージェントで集めた Kuka の 209k エピソードを混ぜても、標準評価(Classroom eval)の低下は2%にとどまり、bin-picking 評価は22%から39%へ上がったと報告する。13台のロボットが約17か月かけてテレオペで集めた約13万デモという大規模な実機収集の上に成立=ロボットデータは実機で1試行ずつ集める高コストなものだと示す。https://arxiv.org/abs/2212.06817 ↩ ↩2 ↩3 ↩4
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“DROID: A Large-Scale In-The-Wild Robot Manipulation Dataset”(Khazatsky ほか, 多機関共同, 2024)。北米・アジア・欧州の50人の収集者が12か月かけて集めた76k軌道(350時間)・564シーン・86タスクの実機操作データセット。76k は成功エピソードのみで、原典は別に約16k の試行を
not successfulと記録し、公開データには含めるがDROIDのサイズには数えていないと書いている(第III-B節)。収集者は1シーンあたり最大100軌道・約20分で次のシーンへ移る。著者らはDROIDでの訓練が方策の性能と汎化を高めると報告。本文では収集労力の実例として引く。https://arxiv.org/abs/2403.12945 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 -
“Learning Fine-Grained Bimanual Manipulation with Low-Cost Hardware”(Zhao ほか, Stanford / UC Berkeley / Meta, 2023)。約2万ドル(著者らの設計原則では
comparable to a single industrial arm=産業用アーム1本と同程度)で組める両腕遠隔操作システムALOHAと学習法ACTを提示し、タスクあたり50〜100デモ(各タスク10〜20分ぶんのデータ、リセットや操作ミスを含む実時間では30〜60分)で6つの精密両腕タスクを学習したと報告。要旨の「80〜90%」は例示された2タスク(瓶蓋開け・バッテリ挿入)に係る値で、実測はベルクロ通しの20%からバッテリ挿入の96%まで幅がある=収集ハードの低価格化と、なお残る人間の実演時間の実例。https://arxiv.org/abs/2304.13705 ↩ ↩2 ↩3 -
“Open X-Embodiment: Robotic Learning Datasets and RT-X Models”(Open X-Embodiment Collaboration, 21機関, 2023)。22種の機体・527スキル・160,266タスクの軌道データを持ち寄って統合し、著者らは機体をまたぐ正の転移を報告した。ただし条件つきである。第V-A節は、データの少ない領域では RT-1-X が5データセット中4つで各機関の元手法を上回る一方、データの豊富な領域(Bridge と RT-1 のデータ)では RT-1-X がその機体のデータだけで訓練した RT-1 に及ばないと書く(
the RT-1-X model does not outperform the RT-1 baseline trained on only the embodiment-specific dataset)。そこで勝てるのは容量の大きい RT-2-X だけで、条件はbut only when utilizing a sufficiently high-capacity architectureである。転移を測った実験の学習混合に載ったのは9機体で、原典はthe robotics data mixture used in our experiments includes 9 embodiments which is fewer than the entire Open X-Embodiment dataset (22)と断っている。第VI節では著者ら自身が、実験が感覚・駆動のモダリティの大きく異なるロボットを扱っていないこと、新しいロボットへの汎化を調べていないことを未達として挙げている(Our experiments do not consider robots with very different sensing and actuation modalities. They do not study generalization to new robots)。本文で「限定的」と言うのはこの意味。規模の面でもテキストコーパスに遠く及ばない。https://arxiv.org/abs/2310.08864 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 -
“Domain Randomization for Transferring Deep Neural Networks from Simulation to the Real World”(Tobin ほか, OpenAI / UC Berkeley, 2017)。物体と机・床・スカイボックス・ロボットのテクスチャ、妨害物の数と形、カメラ姿勢と画角、照明、画像ノイズという、シミュレータの見えをランダムに振り、現実を「もう一つのバリエーション」に見せることで sim 内学習を実機へ転移させる手法。対象は単眼画像からの物体位置推定で、原著が振っているのはレンダリング側のパラメータである。第I節は、力学そのものを合わせにいく系の同定について
System identification, the process of tuning the parameters of the simulation to match the behavior of the physical system, is time-consuming and error-prone.と書き、それを尽くしても非剛体性やギア遊びといった未モデル化の物理が残ると続ける。結論節は、接触の多い操作やより高い精度を要するタスクへの適用を future work に置いている(Future work will explore how to make this technique reliable and effective enough to perform tasks that require contact-rich manipulation or higher precision.)。https://arxiv.org/abs/1703.06907 ↩ ↩2 -
“π0: A Vision-Language-Action Flow Model for General Robot Control”(Physical Intelligence, arXiv:2410.24164, 2024年10月投稿・v4 2026年1月8日改訂。RSS 2025 に掲載)。7種の自社ロボットプラットフォーム(単腕UR5e・双腕UR5e・Franka・双腕Trossen・双腕Arx・移動式Trossen・移動式Fibocom)と Open X-Embodiment を組み合わせて学習した汎用方策。事前学習の混合について、論文は自社データを903Mタイムステップ(単腕106M・双腕797M)・68タスクと記し(Section V-A)、Discussion では自社ぶんを「7機体構成・68タスクから集めた約10,000時間の器用操作データ」、これに OXE・DROID・Bridge を足した全体を「我々の知る限り、ロボット操作モデルに使われた事前学習混合として史上最大」と述べている。論文自身の報告(Section V-A)によれば、下流タスクへの特化(post-training)に用いたデータ量はタスクによって大きく異なり、最も単純なもので5時間、最も複雑なもので100時間以上。ただしこれは「新タスクに必要な最小量」ではない。原文は最も単純なタスクを「5時間で足りる」側の例として挙げている。新規タスクの追試(Section VI-C, Fig.11)は微調整データを1・5・10時間と振っており、全タスク平均では5時間版が上回る(0.57→0.86)。個別タスクでは5件中3件で5時間版が良く(タオル畳み 約0.15→約1.00、ボウル積み 0.89→1.00、引き出しの品物 約0.13→約0.94)、残る2件は1時間版のほうが良い。該当するのは Tupperware(0.87→0.57)と紙タオル交換(約0.82→約0.79、10時間では約0.70)である。後者は原典が
Because no such items are found in pre-training, we consider this "hard."と書いたタスクだ。原文が Tupperware について「1時間版のほうが著しく良い」と書いているのはベースライン各手法との比較であって5時間版との比較ではない。原典は Fig.11 の5タスクを「事前学習のデータと大きく異なる新しいタスク」と規定している。原典は、タオル畳みを、事前学習にあるシャツ畳みに似るため easy 層に置いたと書いている。https://arxiv.org/abs/2410.24164 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 -
“Ego4D: Around the World in 3,000 Hours of Egocentric Video”(Grauman ほか, Meta AI ほか多機関, CVPR 2022)。931人の装着者が74か所・9か国で撮った3,670時間の日常生活の一人称映像データセット。家事・屋外・職場など数百のシナリオを含む。映像であり、ロボットの行動信号(関節指令・力)は含まない点が本文の論点。https://arxiv.org/abs/2110.07058 ↩ ↩2
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“Universal Manipulation Interface: In-The-Wild Robot Teaching Without In-The-Wild Robots”(Chi ほか, Stanford / Columbia / TRI, 2024)。ロボット本体を使わず手持ちグリッパで人間の実演から直接操作データを集め、実機ポリシーへ転移=「人間の日常動作から学ぶ」経路の具体例。in-the-wild 版のカップ配置タスクでは、3人の実演者が12人時で30か所・15種のカップから1,400実演を集めた。未見の2環境での成功率は 43/60=71.7%(学習済みカップ 28/40=70%・未見カップ 15/20=75%)である。同じ未見環境で、狭い実験室データだけを使った対照方策は成功率0%だった。原典は限界も挙げており、SLAM による行動復元は「環境に十分なテクスチャがあること」を要求し、UMI グリッパでの収集は素手の実演より効率が劣ると書いている。https://arxiv.org/abs/2402.10329 ↩ ↩2 ↩3
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“MimicGen: A Data Generation System for Scalable Robot Learning using Human Demonstrations”(Mandlekar ほか, NVIDIA / UT Austin, CoRL 2023)。約200件の人間デモを種に、シーン構成・物体・アームを変えて18タスク・5万件超のデモを自動合成し(うち16タスクは robosuite/MuJoCo と Factory/Isaac Gym の2つのシミュレータ上、残る2タスクは実機。5万件超のほぼ全量がシミュレーション側である)、模倣学習に有効だったと報告。実機でも検証しており、タスクあたり10件の実演からStack 200件(生成成功率82.3%/243試行)・Coffee 100件(同52.1%/192試行)を生成した=「少数の実演を機械的に増やす」経路の実例。生成データから学習した実機方策の成功率は、広い初期分布(D1)で Stack 36%・Coffee 14%(各50回評価)である。種の10デモだけで学習した方策は、その10デモを集めた狭い初期分布(D0)でもどちらも0%だった。ただしこの低さを物理のズレの大きさと読んではいけない。原典が本文と限界節で挙げる理由は、実機の安全のために補間ステップを5から50に増やしたこと(
50 total instead of 5)で、付録の追加実験(Figure H.1・棒グラフのみで値の表は無く、以下は図の目視の概数)はシミュレーション上で補間ステップを5から50に増やすと Stack 約99→68%・Square 約73→50%・Threading 約60→48%・PickPlace 約50→11% と落ちることを示す——ただし Coffee だけは約90→91% で落ちておらず、実機 Coffee の14%を補間の長さで説明する材料はこの図には無い。実機収集が時間を食うため100 demos instead of 1000 demosしか集められなかったことも併記しているが、そちらの検証はしていない。付録では同じ Stack のデータを Diffusion Policy に学習させると36%が76%に上がった(50回評価)と報告している。Coffee は測り直していない。https://arxiv.org/abs/2310.17596 ↩ ↩2 -
“LIBERO-PRO: Towards Robust and Fair Evaluation of Vision-Language-Action Models Beyond Memorization”(Zhou ほか, arXiv:2510.03827。本稿が引くのは v1, 2025年10月である。以下の 0.96/0.98 は、v1 が成功率を 0〜1 の割合で載せる表のうち、libero-goal ベンチで OpenVLA を測った行の平均値である。v2, 2026年5月25日改訂では表が廃され、主要結果は百分率の棒グラフ(Figure 7)に移った。その図には初版の3モデル(OpenVLA・pi0・pi0.5)に MolmoAct・NORA・X-VLA を加えた6本が並ぶ。タスクの組み替えでは6本とも0付近まで崩れる。位置ずらしは pi0.5 だけが例外で、libero-goal で38.0%・libero-spatial で20.0%を残す。原典はこれを
(4) Subtle capability differencesとして番号つきの主要所見に挙げ、revealing differences masked by standard benchmark scoresと書いている。物体の差し替えでは、後から加わった3本が libero-goal で58〜68%(標準 LIBERO の平均は86.8〜98.0)まで落ちる。キャプションもRobustness to object, semantic instruction, and environment changes is limited and varies across models and task suites.と書いている。数値を追うときは版を合わせること)。標準のロボット操作ベンチ LIBERO で90%超の正解率を出すモデルが、物体の初期位置のずらしとタスクの組み替えでは0.0%まで崩れると報告する(位置ずらしで数字を残したのは、上に挙げた pi0.5 だけである)。一方で OpenVLA は物体の差し替え(平均0.96)と指示の破壊(同0.98)ではほとんど落ちず、著者らはこれを頑健さではなく丸暗記に由来する見せかけ(illusory robustness)と位置づける=「汎化した」の物差し自体がまだ定まっていないことの実例。特定ベンチの監査であり、実世界での無能を意味しない点は留保。https://arxiv.org/abs/2510.03827 ↩ ↩2
この記事はAIが執筆しています。内容には誤りが含まれる可能性があります。ご注意ください。