神経科学・BCI・生物
コネクトームだけでは足りない、欠けているのはデータの種類
目次
2024年10月、神経科学の大きな資源が公開された。成体ショウジョウバエ(メス1個体)の全脳コネクトーム——139,255個のニューロンのあいだの約5,000万の化学シナプスを再構成した配線図(FlyWire)だ1。脳を丸ごと一枚に収めた配線図としては、いまのところ最大である。ただし「最大」には全脳という条件がつく。シナプスの数だけを比べるなら、マウス視覚野の1立方ミリメートル片の再構成が自動検出で約5億2,400万シナプスあり、ハエ全脳を同じ数え方(自動検出の総数)で数えた約1億3,000万の4倍ほどある2。
これは「脳を丸ごと測り尽くす」という夢の到達点のひとつだ。だが、この配線図から脳がどう動くかは決まらない。決まらない理由——配線図に何が載っていて、何が載っていないのか——が本題だ。
「コネクトーム」が指す中身は、例ごとに違う
先に語の中身を決めておきたい。コネクトームは「神経系の結合の地図」だが、どの結合を数えたのかは対象ごとに違う。
FlyWire が数えたのは化学シナプスだけだ。論文自身が「このコネクトームは化学シナプスのみを含む。電気シナプスの同定は、より解像度の高い電子顕微鏡データセットを待つ」と断り、考察では「解像度が上がれば電気シナプスも再構成できるかもしれない——それは C. elegans のコネクトームには含まれている」と、ここでの対比そのものを書いている1。線虫 C. elegans の連結図は、実際に電気シナプス(ギャップ結合)を別のレイヤとして持つ。雌雄同体の連結図は、向きのある化学シナプスの辺が4,887本、向きのないギャップ結合の辺が1,447本、という二層構造で公開されている(この辺の数は460ノードのグラフ全体のもので、ノードには302個のニューロンのほかに132個の筋肉と26個の非筋肉終末器官が含まれる)3。
この差は小さくない。ギャップ結合は双方向に電流を流し、伝達物質を介さず、時間特性も化学シナプスとは違う。ただし線虫側の電気シナプスの層も埋まってはいない。2011年に配線図を更新した論文は、ギャップ結合の多くは従来の固定・撮像法では電子顕微鏡像で見分けにくいため欠けている可能性が高い、と書いている4。数えた種類が違うだけでなく、数えたと申告した層の埋まり方も違う。同じ「コネクトーム」という語が、この記事の二つの主役で指す中身が違うということだ。以下で「配線図に載らない」と言うときは、その配線図が何を数えたものなのかを毎回確かめる必要がある。
線虫の配線図は、40年かけて直され続けてきた
前例がある。線虫 C. elegans だ。ニューロンは雌雄同体で302個、雄で385個しかない3。
ただし「1986年に完成した」という言い方は正確ではない。欠落を埋めた更新版が出たのは2011年で、その論文は White ら1986年版について「腹側神経索のニューロンの結合には大きな欠落が残っていた」「公開された配線図は、正確でも完全でも自己整合的でもない」と書き、自らの更新版についても「それでも欠測と技術的困難のため約90%しか完全でない」と断っている。しかもその更新版は3匹の虫の部分的な撮像を合成したもので、後部中体の像は雄 N2Y のものだ4——雌雄同体の配線図に雄個体の像が混じっている。雌雄そろった全個体レベルの連結図が出たのは2019年だ3。線虫の配線図は40年前に完成したのではなく、40年かけて直され続けてきた。
では、その配線から行動は決まったか。部分的にしか、決まっていない。示唆的なのが2023年の信号伝播アトラスだ。
やり方はこうだ。113匹の個体で、ニューロンを1個ずつ光遺伝学的に刺激し、全脳のカルシウム応答を同時に測る。得られたのは送り手と受け手のニューロン組23,433通りについての、伝播の符号・強さ・時間特性・因果の向きの記録だ。単位に注意がいる。23,433はニューロンの数ではなく、測ったニューロンの組の数である。二つの被覆率も混ぜないほうがいい。記録できたのは頭部188個のうち186個(99%)のニューロンの活動で、これは測れた側の数字だ。刺激と応答の組として測れたのは、頭部で可能な組の66%にとどまる(刺激されないまま記録だけされたニューロンもいる)。
結果は、伝播が解剖学ベースの予測とずれること、そしてその差にシナプス外の神経ペプチド伝達が効いていることだった5。ずれは精度の問題にとどまらない。化学シナプスもギャップ結合も一本も無い神経の組——たとえば M3L と URYVL——のあいだで、実際に信号が伝わっていた。原典はそうした「配線ゼロの機能結合」の候補を53組挙げ、これを下限だろうと書いている。配線図が手元にあってなお、信号がどう伝わるかは測りにいくしかなかった。
配線図に載らないもの
なぜ配線から機能が決まらないのか。静的な配線図が記録していない情報を、四つ挙げる。
符号(興奮か抑制か)。ここは誤解しやすい。伝達物質の情報自体は埋まりつつある。FlyWire は伝達物質の推定を配線図に同梱して配布しているし1、線虫では主要な伝達物質7種をノックイン標識で調べたアトラスが2024年に出ている6。だがそのアトラス自身が、複数の伝達物質を共放出しうる神経の範囲を大きく広げ、「専らニューロペプチド性かもしれない」神経を定義している——1つの神経に1つの伝達物質、という前提のほうが先に崩れている。そのうえで、興奮性か抑制性かを決めるのは送り手の伝達物質ではなく受け手の受容体だ。線虫からは、グルタミン酸で開く塩化物イオンチャネルが単離されている7。グルタミン酸を受けて抑制性に働きうる受容体があるということだ。だから伝達物質を同定しても符号は確定しない。事実、先の信号伝播アトラスは符号そのものを実測し、なぜ符号が解剖からは読めないかの実例も挙げている。AFD から AIY への結合は、グルタミン酸で AIY を抑制する機構を備えているのに、ペプチド伝達のせいで実際には興奮性だ5。
時間とダイナミクス。行動は時々刻々と変わるが、配線は固定されている。同じ配線が、状態しだいで違う出力を出す。
神経修飾。ドーパミンやセロトニンは、同じ回路の効き方そのものを書き換える。総説の言葉では、解剖学的なコネクトームは最小限の構造を与えるものであり、行動を生む機能的な回路を構成し規定するのは神経修飾の環境である8。
素子そのものの性質。線虫のニューロンは長らく、古典的な活動電位を持たないと考えられてきた。ただし例外が見つかっている。AWA嗅覚ニューロンは、EGL-19 電位依存性カルシウムチャネルで立ち上がり SHK-1 カリウムチャネルで終息する、全か無かのカルシウム性活動電位を発することが2018年に報告された9。どの素子を積んでいるかは、配線図には書かれていない。
個体差についても一言いる。FlyWire が再構成したのは成体メス1個体の脳(中枢脳と視葉。腹側神経索は含まない)だ1。1枚の配線図から個体差は読み取れない。別の脳と突き合わせた研究では、細胞数と結合はおおむね定型的で、ときに個体差が現れると報告されている10。定型的、というのは幅が無いという意味ではない。同じ原典が量を出している——個体をまたいで比べると、一方の脳で30シナプスある辺の4分の1は、もう一方では13本未満になる。右半球で34シナプスを受けるのに、左半球でも別個体でも1本も無い下行ニューロンもある。
地下鉄の路線図
コネクトームは地下鉄の路線図に似ている。どの駅とどの駅がつながっているかは分かる。だが路線図は教えてくれない——いつ電車が走るのか、誰が乗るのか、その路線が街にとって何のためにあるのかを。
この見立ては神経科学の側でも早くから言われてきた。2013年の総説は、神経系の機能を理解するには結合図のほかにどんな情報が要るのかを正面から問い、ニューロンのダイナミクス、神経修飾、並列回路の存在を挙げている11。「配線図では分からない」ではなく「配線図だけでは決まらない」。この区別が本題の芯にあたる。
配線図は効く、別の層を足したときに
配線図が土台として効くことは、すでに実証されている。
幼生ゼブラフィッシュの脳幹では、再構成した配線図から組んだ回路モデルが、眼球位置の細胞レベルの符号化と神経ダイナミクスを予測し、カルシウムイメージングによる活動記録で統計的に検証された12。同じ構図は他の脊椎動物でも見える。ただしこの例も、配線だけで動いたわけではない。原典は「最小限の生理学的制約」として、一部の細胞を抑制性・残りを興奮性とする符号の割り当てを先行研究から持ち込み、ネットワークの時定数は検証に使うのと同じカルシウムイメージングの減衰時間に合わせて調整している。借りている先はさらに遠い。モデルが出す眼球位置感受性を実験と比べられる絶対値にするために、原典は別種である金魚の前運動ニューロンの発火記録に合わせた大域スケール因子を掛けている。網膜の例では、借りものが結論を担っている。マウス網膜の方向選択性は、双極細胞がスターバーストアマクリン細胞の「近く」に配線する型と「遠く」に配線する型に分かれる、という電子顕微鏡由来の事実だけからは出てこない。決め手になったのは、近い型が遠い型より視覚応答で 50〜100 ミリ秒遅れるという、別の生理実験から借りてきた時間の情報だった。配線に時間を重ねてはじめて、時空間に傾いた受容野——すなわち方向選択性——が導かれる13。
ハエでも、FlyWire の配線と推定伝達物質を土台にした全脳の発火モデルが動いた。糖や水の味覚ニューロンをモデル上で刺激すると、実際に味に応答し摂食開始に必要なニューロンを正しく予測する。さらに摂食領域のニューロンを刺激すると運動ニューロンの発火が起きるという予測が立ち、光遺伝学的な活性化と行動実験で検証されたのはこの後者のほうだ14。
注目したいのは、このモデルが配線だけでは動いていないことだ。推定した伝達物質という別の層を重ね、さらに生物物理パラメータを先行の電気生理・モデリング研究から借りて、はじめて発火モデルになる(原典が自由パラメータとして残したのはシナプス1個あたりの膜電位変化ひとつだけで、その1つも先行の実測に合わせて決めている)。ただし推定伝達物質の層は、符号を決めきってはいない。著者ら自身が、個々のグルタミン酸結合が興奮性か抑制性かを脳全体の規模で予測することは現時点ではできない、と書き、グルタミン酸を抑制性と仮定して置いている。仮定を興奮性へ反転させると、苦味と Ir94e が抑制性だという計算結果は消え、光遺伝学検証の偽陽性率は1%から16%へ上がる14。先に述べた符号の問題は、ハエの全脳モデルの内側にそのまま残っている。線虫で足りなかったものも、種類としては同じだった。符号、時間、修飾、素子である。
結論:足りないのは量ではなく種類
配線を測る解像度をどれだけ上げても、時間・修飾・状態依存性は配線図の上には現れない。それらは配線とは別に測りにいくものだ。原理的に測れないという話ではない。現に符号は光刺激で測られ、伝達物質はノックイン標識で調べられ、細胞型は注釈として重ねられている。
だからコネクトームは「答え」ではなく「最初の一歩」だ。取り違えると、データを増やす方向だけで壁を越えようとすることになる。データを増やすことが答えになるのは、それが正しい種類のデータであるときだけだ。
出典14件
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S. Dorkenwald, A. Matsliah, A. R. Sterling, P. Schlegel ら(FlyWire Consortium)「Neuronal wiring diagram of an adult brain」, Nature 634(8032), 124–138 (2024), doi:10.1038/s41586-024-07558-y。原文の記述は「a neuronal wiring diagram of a whole brain containing 5 × 10⁷ chemical synapses between 139,255 neurons reconstructed from an adult female Drosophila melanogaster」——数えたのは化学シナプスのみ、対象は成体メス1個体。「predictions of neurotransmitter identities」も同梱して配布されると明記。電気シナプスについては本文で「Our connectome includes only chemical synapses; the identification of electrical synapses awaits a future electron microscopy dataset with higher resolution」、考察で「Higher resolution might enable the reconstruction of electrical synapses, which are included in the C. elegans connectome」と述べている。 https://www.nature.com/articles/s41586-024-07558-y ↩ ↩2 ↩3 ↩4
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The MICrONS Consortium「Functional connectomics spanning multiple areas of mouse visual cortex」, Nature 640, 435–447 (2025), doi:10.1038/s41586-025-08790-w。マウス視覚野の約1立方ミリメートル(in vivo 実寸 1.3 × 0.87 × 0.82 mm³)を電子顕微鏡で再構成し、「more than 200,000 cells and 0.5 billion synapses」を含むと報告。全脳ではなく一片であることに注意。なお 0.5 billion の実体は Methods の「a total of 524 million synaptic clefts across both subvolumes」で、校正済み細胞に限らない自動検出の総数である。本文冒頭の 5×10⁷(FlyWire)は「校正済みニューロン間」に限った別の数え方なので、両者をそのまま割ってはならない——FlyWire 論文自身は同じ脳の自動検出総数を「around 130 million synapses」と別に報告しており、本文の比較はそちらと並べている。 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11981939/ ↩
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S. J. Cook, T. A. Jarrell, C. A. Brittin ら(責任著者 S. W. Emmons)「Whole-animal connectomes of both Caenorhabditis elegans sexes」, Nature 571(7763), 63–71 (2019), doi:10.1038/s41586-019-1352-7。雌雄両方の全個体連結図。原文は「The graph of the hermaphrodite connectome has 460 nodes (302 neurons, 132 muscles, and 26 non-muscle end organs), whereas the male graph has 579 nodes (385 neurons, 155 muscles, and 39 non-muscle end organs)」「The respective graphs have 4,887 chemical (or directed) edges and 1,447 gap junction (or undirected) edges in the hermaphrodite」と述べる。辺の数はニューロン間だけのものではなく、筋肉と非筋肉終末器官を含む460ノードのグラフ全体のものである。化学シナプスの有向辺とギャップ結合の無向辺が別立てで数えられている。 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6889226/ ↩ ↩2 ↩3
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L. R. Varshney, B. L. Chen, E. Paniagua, D. H. Hall & D. B. Chklovskii「Structural properties of the Caenorhabditis elegans neuronal network」, PLoS Computational Biology 7(2), e1001066 (2011), doi:10.1371/journal.pcbi.1001066。White ら1986年の再構成について「a major gap in the connectivity of ventral cord neurons remained」「published wiring diagrams are neither accurate nor complete and self-consistent」と述べ、自らの更新版についても「it is only about 90% complete because of missing data and technical difficulties」「this reconstruction combined partial imaging of three worms, with images for the posterior midbody being from the male N2Y」と断っている。その内訳も同じ段落で明かしており、「Due to sparse sampling along lengths of the sublateral, canal-associated lateral, and midbody dorsal cords, about 5% of the total chemical synapses are missing」「Many gap junctions are likely missing due to the difficulty in identifying them in electron micrographs using conventional fixation and imaging methods」と述べる。なお PLOS の HTML 版はこの数値を画像として組んでおり本文テキストからは読めないため、数値を確かめるなら arXiv 版(https://arxiv.org/abs/0907.2373、v1–v4 いずれも同文)を参照。 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3033362/ ↩ ↩2
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F. Randi, A. K. Sharma, S. Dvali & A. M. Leifer「Neural signal propagation atlas of Caenorhabditis elegans」, Nature 623, 406–414 (2023), doi:10.1038/s41586-023-06683-4。掲載版の記述は「we systematically measure signal propagation in 23,433 pairs of neurons across the head」——単位はニューロンの組である。本文では「activity from 186 of 188 neurons in the head, or 99% of all head neurons」「We recorded activity from 113 wild-type (WT)-background animals」「we activated each single neuron, one at a time」と述べる。測定項目は「the sign (excitatory or inhibitory), strength, temporal properties and causal direction」。信号伝播が解剖学ベースの予測とずれ、シナプス外シグナリングがその差に寄与すると報告。ずれの内実として、配線が一本も無い組の実例「There are no direct chemical or electrical synapses between M3L and URYVL, but stimulation of M3L evokes unc-31-dependent calcium activity in URYVL」を挙げ、純粋にシナプス外の候補を「Fifty-three pairs of neurons met our criteria」「This is likely to be a lower bound」と述べる。解剖との直接比較も出しており、「A matrix of bare anatomical weights (synapse counts) was a poor predictor of the correlations of spontaneous activity」。符号が解剖から読めない実例として挙がる「AFD→AIY, for example, expresses machinery for inhibiting AIY through glutamate, but is excitatory owing to peptidergic signalling」は、本論文の実測ではなく先行研究(A. Narayan, G. Laurent & P. W. Sternberg, PNAS 108, 9667–9672 (2011))からの引用である。 https://doi.org/10.1038/s41586-023-06683-4 ↩ ↩2
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C. Wang, B. Vidal, S. Sural, … O. Hobert「A neurotransmitter atlas of C. elegans males and hermaphrodites」, eLife 13:RP95402 (2024), doi:10.7554/eLife.95402.3。主要7種(グルタミン酸・アセチルコリン・GABA・セロトニン・ドーパミン・チラミン・オクトパミン)についてCRISPRノックインレポーター16系統を雌雄同体・雄の双方で解析し、「the most extensive whole-animal-wide map of neurotransmitter usage to date」と報告。要旨は同じアトラスが「defines neurons that may be exclusively neuropeptidergic, substantially expands the repertoire of neurons capable of co-transmitting multiple neurotransmitters」とも述べる。ただし個々の結合が興奮性か抑制性かは扱っていない。 https://elifesciences.org/articles/95402 ↩
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D. F. Cully, D. K. Vassilatis, K. K. Liu ら「Cloning of an avermectin-sensitive glutamate-gated chloride channel from Caenorhabditis elegans」, Nature 371(6499), 707–711 (1994), doi:10.1038/371707a0。線虫由来のcDNA 2本を Xenopus 卵母細胞での発現クローニングで単離し、アベルメクチン感受性のグルタミン酸作動性塩化物イオンチャネルとして同定した。要旨の結語は「We find that the electrophysiological and structural properties of these proteins indicate that they are new members of the ligand-gated ion channel superfamily」。グルタミン酸受容体が塩化物チャネルでありうる——すなわち伝達物質の同一性だけからは符号が決まらない——ことの分子的な出発点にあたる。ただし本論文の電気生理はすべて卵母細胞での異種発現系であり、線虫のニューロン上でこの経路が抑制性に働くことを実測したものではない(要旨に inhibitory の語は無い)。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/7935817/ ↩
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E. Marder「Neuromodulation of Neuronal Circuits: Back to the Future」, Neuron 76(1), 1–11 (2012), doi:10.1016/j.neuron.2012.09.010。神経修飾物質が回路の出力を大きく組み替えることを論じた総説——要旨の最終文は「the anatomical connectome provides a minimal structure and the neuromodulatory environment constructs and specifies the functional circuits that give rise to behavior」。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23040802/ ↩
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Q. Liu, P. B. Kidd, M. Dobosiewicz & C. I. Bargmann「C. elegans AWA Olfactory Neurons Fire Calcium-Mediated All-or-None Action Potentials」, Cell 175(1), 57–70.e17 (2018), doi:10.1016/j.cell.2018.08.018。冒頭で「Neurons in Caenorhabditis elegans and other nematodes have been thought to lack classical action potentials」と通説を確認したうえで、AWA嗅覚ニューロンにカルシウムスパイクを観測したと報告。要旨は「which are initiated by EGL-19 voltage-gated CaV1 calcium channels and terminated by SHK-1 Shaker-type potassium channels」と機構まで書いている。なお「段階的な膜電位で信号をやりとりする」という通説側の記述は本要旨には無い。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30220455/ ↩
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P. Schlegel, Y. Yin, A. S. Bates, S. Dorkenwald ら「Whole-brain annotation and multi-connectome cell typing of Drosophila」, Nature 634(8032), 139–152 (2024), doi:10.1038/s41586-024-07686-5。FlyWire の全脳コネクトームに細胞クラス・細胞型・発生単位の階層注釈を与えた研究。8,453の細胞型を注釈し、別個体の脳との突き合わせから「broad stereotypy and occasional variability in neuron count and connectivity」を報告。辺の重みについては比較の系ごとに別立てで、個体をまたぐ場合は「25% of all 30-synapse hemibrain edges will consist of fewer than 13 synapses in FlyWire, and 5% will consist of only 1–2 synapses」、同一個体の左右では「25% of all 30-synapse edges on the left will consist of 21 synapses or less on the right」と述べる(原典自身が「Consistency is greater when looking within FlyWire」と両者を区別している)。個別例としては「descending neuron DNp42 receives 34 synapses from PLP146 in FlyWire right, but none on the left or hemibrain」を挙げ、発生上の雑音=本物の生物学的個体差だろうとする。ただし観測される配線図は「not just by biological variability but also by technical noise, for example, from segmentation issues, synapse detection errors and synaptic completion rates」にも形づくられるとし、「differences in edge weights of 30% or less may be entirely due to technical noise and should not be overinterpreted」という目安を与えている——配線図に載っている数値の精度もまた、配線図の上には書かれていない。 https://www.nature.com/articles/s41586-024-07686-5 ↩
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C. I. Bargmann & E. Marder「From the connectome to brain function」, Nature Methods 10(6), 483–490 (2013), doi:10.1038/nmeth.2451。「we ask what information is needed beyond connectivity diagrams to understand the function of nervous systems」と問いを立て、「the importance of neuronal dynamics and neuromodulation, and the existence of parallel circuits」を挙げる総説。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23866325/ ↩
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A. Vishwanathan, A. Sood, J. Wu, A. D. Ramirez ら「Predicting modular functions and neural coding of behavior from a synaptic wiring diagram」, Nature Neuroscience 27(12), 2443–2454 (2024), doi:10.1038/s41593-024-01784-3。幼生ゼブラフィッシュ脳幹の配線図から回路モデルを構築し、眼球位置の細胞レベル符号化と神経ダイナミクスを予測、カルシウムイメージングで統計的に検証。自己評価は「This work demonstrates how connectome-based brain modeling can reveal previously unknown anatomical structure in a neural circuit and provide insights linking network form to function」。ただし要旨の「based directly on the reconstructed wiring diagram」だけを読むと配線のみで組んだように見えるが、Results は「A minimal set of physiological constraints were imposed on the model」と述べ、符号(興奮/抑制)の割り当てを先行研究から導入し、対側との相互作用も生理学的知見に基づいて省いている。時定数も「These parameters were tuned so that the simulations roughly matched the decay times of the leading two principal components in the data」として調整された自由パラメータである(比較の相手がカルシウムイメージングのデータであることは直前の文に書かれている)。ただし原典は続けて「These free parameters of the network model were not finely tuned, and the precise values used are not critical to the results obtained here」とも断っており、効いているのは値の精度ではなく出所のほうである。さらに絶対値の係留先は種をまたいでいる——「Finally, to obtain absolute position sensitivities that could be compared to experiments, we multiplied the relative sensitivities by a single global scale factor that was determined by matching the average VPNI population responses from the model to the average physiological VPNI responses from goldfish」。参照先は金魚の前運動ニューロンの発火記録(E. Aksay, R. Baker, H. S. Seung & D. W. Tank, J. Neurophysiol. 84, 1035–1049 (2000))である。 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11614741/ ↩
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J. S. Kim, M. J. Greene, A. Zlateski ら(責任著者 H. S. Seung、EyeWirers)「Space–time wiring specificity supports direction selectivity in the retina」, Nature 509(7500), 331–336 (2014), doi:10.1038/nature13240。マウス網膜のOff型スターバーストアマクリン細胞と双極細胞を電子顕微鏡像から再構成し、接触面積と分枝の深さの解析から配線の時空間特異性が方向選択性を支えうることを示した。要旨は可能性の様相で書かれている——
A mathematical model shows how such "space-time wiring specificity" could endow SAC dendrites with receptive fields that are oriented in space-time。方向選択性そのものの生理検証は本論文では行っていない(全文でcalcium imaging・physiologはいずれも0件)。決め手の時間差も本論文の実測ではなく、Imaging of intracellular calcium in BC axons[7] and extracellular glutamate around BC axons[8] indicate that BC2 lags BC3a in visual responses by 50 to 100 msとして参考文献7・8の別研究から借りている。さらにモデルは、BC3a が過渡的・BC2 が持続的という素子そのものの応答性質の差も使う。 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4074887/ ↩ -
P. K. Shiu, G. R. Sterne, N. Spiller, R. Franconville ら(責任著者 K. Scott)「A Drosophila computational brain model reveals sensorimotor processing」, Nature 634(8032), 210–219 (2024), doi:10.1038/s41586-024-07763-9。配線と推定神経伝達物質を土台に leaky integrate-and-fire モデルを構築(生物物理パラメータは先行の D. melanogaster モデリング・電気生理研究から採られており、原典が自由パラメータとして残したのはシナプス1個あたりの膜電位変化 W_syn の1つだけ——「All biophysical parameters are taken from previous D. melanogaster modelling or electrophysiology efforts, from the synaptic weights from the Flywire connectome and from the neurotransmitter predictions, except for W syn」)。「activation of sugar-sensing or water-sensing gustatory neurons in the computational model accurately predicts neurons that respond to tastes and are required for feeding initiation」と述べ、光遺伝学的活性化と行動実験で検証したのは別の予測——「using the model to activate neurons in the feeding region of the Drosophila brain predicts those that elicit motor neuron firing—a testable hypothesis that we validate by optogenetic activation and behavioural studies」——のほうである。ただし推定伝達物質の層は符号を決めきってはいない。Methods は「At present, it is not feasible to predict whether a particular glutamatergic connection is excitatory or inhibitory at a brainwide scale」と述べたうえでグルタミン酸を抑制性と仮定して置き、反転させた場合の影響まで測っている——「the computational result that bitter and Ir94e are inhibitory is eliminated if we assume glutamate is excitatory」、さらに光遺伝学的活性化実験の偽陽性率が「from 1% to 16%」へ上がる。モデル式では伝達物質が符号そのものに変換される(「multiplied by either 1, if neuron j is excitatory or −1, if neuron j is inhibitory」)。唯一の自由パラメータ W_syn(0.275 mV)も自由に置かれてはおらず、「We chose W syn such that activation of sugar GRNs at 100 Hz resulted in roughly 80% of maximal MN9 firing」として先行の実測に合わせて選ばれている。 https://www.nature.com/articles/s41586-024-07763-9 ↩ ↩2
この記事はAIが執筆しています。内容には誤りが含まれる可能性があります。ご注意ください。