AIエージェント
Copilotの80万行Rust移植で正しさの基準になったE2Eテスト
目次
GitHubは2026年9月16日、Copilotのエージェントランタイムを、TypeScriptからRustへ書き直した記録を公開した1。エージェントランタイムは、Copilotの製品群が共通に使う、エージェントの実行部分である。GitHub(Microsoft傘下)が保守し、Copilot CLI・Copilot app・Copilot SDKがこれを使う1。VS Code・Visual Studio・Copilot Code Review・Office製品群のAI機能も、このランタイムの上に作られている1。書き直した後のRustのコードは80万行を超え、その大半をコーディングエージェントが書いた1。
書き直しを任せた開発者は、書かれたコードが元のプログラムと同じように動くかを確かめなければならない。確かめる手段は、ふつう書き直す前から在るテストである。テストのうち、製品全体を外から動かして挙動を確かめるものを、E2Eテストと呼ぶ。テストが通れば、書き直しは元の挙動を保ったと判断する。ところがエージェントは、実装のコードを書き換えるのと同じ操作で、テストのコードも書き換えられる。落ちたテストを通るように書き換えられると、テストが通ったという結果は、挙動が保たれたことを示さなくなる。
GitHubはこの移植で、何を正しさの基準にし、その基準をどう保ったのか。
正しさの基準は移植の前から在るE2Eテストであり、GitHubは移植の途中で、エージェントが明示的な同意なしにE2Eテストを変えることを規則で禁じた1。 テストを削除すれば、実装を直さなくてもテストは全部通り、確かめた挙動が減ったことは結果に出ない。移植では実際に、エージェントがE2Eテストを削除した例と、互換性の検査が失敗したのに、例外扱いのラベルを付けて通そうとした例があった1。テストが初めから無い挙動は、規則を置いても確かめられず、移植が原因の退行(移植前に正しく動いていた機能が移植後に壊れること)は数十件見つかった1。
記録を書いたのは、移植の作業をしたMicrosoftのDistinguished Engineer、Stephen Toubである。以下では著者と呼ぶ1。本稿はまず、小さな例を使って、テストの結果が何を示すかを数える。次に、著者の記録をその例に当てて読む。
関数10個とテスト8本の例で、「全部通った」が示す範囲を数える
この節で使う関数とテストの数は、説明のために本稿が決めたもので、GitHubの記録には無い。
あるプログラムが、外部に10個の関数を公開している。このプログラムを別の言語へ書き直す。書き直す前から在るE2Eテストは8本で、1本が関数を1個呼び出し、結果が期待どおりかを確かめる。残りの2個の関数には、テストが無い。
書き直しの途中で、テストの在る関数が1個抜け落ちた。テストを走らせると、8本のうち7本が通り、1本が落ちる。ここから「全部通った」という結果へ進む方法は、二つある。
| 方法 | テストの結果と、確かめた関数の数 |
|---|---|
| 抜けた関数を書き足す | 8本中8本が通る。確かめた関数は8個 |
| 落ちたテストを削除する | 7本中7本が通る。確かめた関数は 8 − 1 = 7個 |
どちらの方法でも、結果は「全部通った」になる。テストを削除した場合は、関数が1個抜けたままで、その関数を確かめるテストも無くなっている。確かめた関数は8個から7個へ減ったが、「全部通った」という合否だけを見ると、減ったことは分からない。
テストの無い 10 − 8 = 2個の関数は、どちらの方法でも確かめていない。この2個が書き直しで壊れても、テストの結果は変わらない。
例から言えることを、三つの性質にまとめる。
- 「全部通った」という結果が示すのは、テストが確かめている関数が動くことだけである。どの関数を確かめているかは、テストが何を呼び出しているかで決まる。
- テストを削除すると、実装を直さなくても全部通る。確かめている関数は減るが、結果は「全部通った」のまま変わらない。
- テストが初めから無い関数は、壊れても結果に出ない。テストを誰が管理していても、この点は変わらない。
性質2から、テストの結果を正しさの基準に使える条件が分かる。条件は、実装を書き換える者が、自分の判断だけではテストを変えられないことである。テストを変えるのに別の人の同意が要るなら、テストを削除して通す方法は、同意を求めた時点で人に知られる。
GitHubは部品を置き換えるたびに、全てのE2Eテストを走らせた
GitHubは、ランタイムを部品に分けて一つずつRustへ置き換え、置き換えるたびに全てのE2EテストをRustの実装に対して走らせた1。必須のテストが一本でも落ちたPRは、mainに入らなかった1。例では、テストを走らせて結果を見る判定を1回行った。GitHubは同じ判定を、部品ごとに繰り返した。
書き直しの進め方には二つの形がある。全体を書き終えてから一度に古い実装と入れ替える一括切替と、部品を一つずつ書き直してそのたびに本番のコードへ入れる部品置換である。GitHubは部品置換を選び、128件のプルリクエスト(PR)をmainブランチへ入れた1。各PRは、既存のTypeScriptの実装を、Rustの実装を呼ぶだけの薄いコードに置き換え、古いTypeScriptのコードを同じPRの中で削除した1。mainブランチは、いつでも出荷できる状態に保たれた1。
判定の手段には、別の候補もあった。新旧の部品を並べて保守し、両方を走らせて結果を比べる形である。著者はこの形を退けた1。セッション編成は、エージェントとの一連の対話を管理する部品で、可変の状態を持ち、双方向にコールバックを呼ぶ。このような部品で「両方を走らせて比べる」には、食い違っていく二つの写しを保守しなければならない1。著者は、新旧を切り替えられることの利点は主に確信を得ることにあり、確信は他の方法でも得られると書く1。次の段落は、段階的な出荷による確かめを挙げる。約14.5週の移植の間に、mainからは先行版100・安定版35の計135のリリースが出た。部品を少しずつ出荷したので、実際の利用者(多くはMicrosoftとGitHubの社内)が使う配布版の上で、最後の確かめができた1。
性質1を当てはめると、E2Eテストが全部通ったという結果が示すのは、E2Eテストが確かめている挙動が保たれたことである。著者は教訓の中で、E2Eテストが決定的に重要だと書く1。
エージェントは、実装を直さずに検査を通そうとした
著者の記録には、性質2に関わる出来事が二つある1。
一つ目では、移植の途中で、SDKに公開していた関数が1個落ちた。例の「外部に公開している関数」に当たる。互換性の検査は、関数の欠落を検出して失敗した。エージェントは関数を戻さず、検査の失敗を例外扱いにして通すためのラベルをPRに付けた。マージ前のレビューで著者が「なぜ問題ないのか」と問うと、関数が失われていたことが分かり、関数はRustで書き戻された1。
二つ目では、別の移植がSDKのコールバックを落とし、そのコールバックを確かめるE2Eテストも削除した。例で言えば、関数が抜けたまま、その関数を確かめるテストも無くなった状態である。この件から、エージェントは明示的な同意なしにE2Eテストを変えてはならない、という規則ができた1。著者がエージェントに繰り返し使わせたレビューの指示にも、E2Eテストが削除も変更もされていないことを確かめる項目が在る。指示は、そうした変更を移植の不具合の兆候だと書く1。
著者は、正しさを判定する基準をオラクルと呼ぶ。ソフトウェアテストでは、出力が正しいかを判定する仕組みをテストオラクルと呼ぶ。著者は、E2Eテストを移植の途中で書き換えればオラクルを失うと書き、教訓として「オラクルをエージェントから守れ」と書く1。
著者が禁じる操作は、テストの削除だけではない。実装を変えるエージェントに、テストを弱める、スナップショット(以前の出力を保存した期待値)を更新する、互換性の基準値を引き上げる、例外扱いのラベルを付ける、といった操作で正しさの定義を黙って変えさせない。少なくとも監督なしには許さない、と著者は書く1。四つの操作はどれも、例の「テストを削除する」と同じく、実装を直さずに検査を通す。
禁じているのは、黙って変えることと、監督なしに変えることである。監督の下での変更までは禁じていない。そのために著者は、挙動の契約(ある入力に対して部品がどう振る舞うかの約束)をできる限り独立に定める。要所の検査は、書き換える側とは別の所有者か承認の下に置く。失敗の仕方が異なる検査を重ねて、一つの誤りだけでは大きな退行が出荷されないようにする1。
監督する役は人に残った。著者は、人が受け持った仕事として、証拠の判断、リスクの高い箇所の手動レビュー、最終的なマージの判断などを挙げる1。著者は「エージェントは一人の技術者が監督できるコードの量を変えた。システムを理解し、方向・ガードレール・リリースを保証できる技術者の必要性を無くしはしなかった」と書く1。
テストが足りなかった挙動で、退行が出た
移植が原因と分かっている退行は、2026年9月14日時点で数十件あり、全て修正済みである。大半は正しさの退行で、性能の退行は少数だった1。
著者は、退行の多くをE2Eテストの不足に結び付ける。欠けた機能に関わる退行は一件を除いて全て、その他の退行も多くが、E2Eテストの不足によるものだったと書く1。この記述は性質3に当たる。例で言えば、テストの無い2個の関数が壊れた場合である。著者は移植の前にE2Eテストを増やしたが、足りなかったと振り返る1。
正しさの退行のほぼ全ては、著者の分類で三つの型に入る1。
- 新しいコードが、元と違う挙動の契約を実装した。
- 状態・所有・寿命の扱いが変わった。
- 移植の一部が抜け落ちた。または部分的にしか適用されなかったか、rebase(ブランチの変更を別の基点の上に付け直す操作)の過程で消えた。
型の中身は、繰り返し現れたパターンで具体的に分かる1。一つは数値の型である。TypeScriptの数値型は一つだけだが、Rustでは複数の型から選ばなければならず、42.0と42の違いが移植の途中で表に出た。空文字列の扱いも変わった。JavaScriptの||演算子は空文字列を別の値に置き換えるが、Rustのunwrap_orは空文字列をそのまま残す1。最も多かったのは、寿命・所有・順序・競合に関わる不具合である1。
テスト自体が誤っていた場合もある。三つの型に入らない少数の退行は、ホスト(ランタイムを組み込むアプリケーション)や他言語との境界にある要件と、誤った挙動を正しいとして検証していたテストから出た1。性質1のとおり、テストが通ったことが示すのは、テストが確かめている内容だけである。テストが誤った挙動を期待していれば、誤った挙動のまま通る。
退行の全体の数は分かっていない。著者は、知られていない退行がまだ在るのは確実だと書く1。一方で著者は、公開リポジトリのissueのうち品質に関わるものの比率が、移植の前後でほぼ変わらなかったとも示す。copilot-cliでは22.9%から23.7%、copilot-sdkでは36.2%から32.3%である1。
E2Eテストが確かめたのは正しさで、速さは著者の見積もりである
三つの性質は正しさの確かめ方についてのもので、移植の速さと費用には当たらない。GitHubの移植の費用と速さは、著者自身の見積もりである。トークン消費と金額は著者一人の作業の分で、著者は移植がチームの仕事でもあったと断っている1。トークン消費は合計約1,363億トークン、金額にして約12万ドルだった1。PRの比率から見積もった開発者の専有時間は約3週間である1。著者は、エージェント以前ならチーム全体で1〜2年かかった規模の仕事を、主に一人の開発者が数か月で終えたと書く1。
作業した当人の速さの感覚は、測定と食い違うことがある。METRが2025年7月に公表したランダム化比較試験(RCT)は、2025年初頭のAIツールを使う経験豊富なオープンソース開発者を対象にした。開発者は、AIツールを使うと、使わない場合より19%長い時間を要した2。開発者自身は、遅くなった後でさえ、AIで20%速くなったと答えた2。
その後の測定は、まだ結論を出していない。METRは2026年2月に実験設計の変更を告知し、新しい実験のデータは現在のAIツールの生産性効果について信頼できない信号だと自ら書いた3。理由の一つは、AI無しで働きたくないという理由で参加しない開発者が増えたことである3。
同じ告知は、2026年初頭の開発者は2025年初頭の推定より速くなっている可能性が高いと書く3。元の参加者での生の推定は、所要時間18%減(区間は38%減から9%増まで)である3。ただしMETRは、参加者の抜け方による偏りのため、大きさの証拠としてはごく弱いと自ら格付けする3。AI無しで働きたくない開発者と課題が抜け落ちるため、この推定は真の効果の下限である可能性が高いとも書く3。
GitHubの速さの数字を裏づける独立した測定は、まだ無い。METRが測っているのも、一人の開発者が数か月で進める大規模な移植ではない。これに対して正しさの側は、著者自身が公開した退行の記録で確かめられる。
同じ例を、Googleの移行の報告に当てる
エージェントに大きな変更を任せた報告を読むときは、例と同じものを数える。テストは何を確かめているか。実装を変える者は、テストも変えられるか。テストの無い挙動は、何で確かめたか。
Googleの社内移行の報告に、この三つを当てる。報告は自らを研究ではなく経験談だと限定している4。IDを32ビットから64ビットへ移す作業では、取り込まれた変更のコード修正の80%を、LLMだけが書いた4。移行に要した総時間は、移行した技術者自身の報告で約50%減ったと推定する4。速さが当人の報告である点は、GitHubと同じである。
テストの扱いは、GitHubの規則と異なる。Googleのツールキットは、単体テストを通るコードだけを変更に含め、必要に応じてテストもLLMに更新させる4。例に当てはめると、実装を変える者がテストも変えられる。その後に、同じ技術者が変更を手で確認し、影響を受けるコードの所有者のレビューへ回す4。比べているテストの層も違い、Googleが更新させるのは単体テストで、GitHubの規則が守るのはE2Eテストである。テストの変更を人が見る時点も違う。Googleの報告では変更が作られた後で、GitHubの規則ではE2Eテストを変える前に同意が要る。
データの移行、依存関係の大規模な更新、APIの版上げでも、同じ数え方が使える。テストが全部通ったという報告では、変更の前後でテストの本数が減っていないかと、テストを変えたのは誰かを、先に読む。
出典4件
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Stephen Toub(Microsoft の Distinguished Engineer), “Migrating the GitHub Copilot runtime to Rust, using Copilot”, GitHub Blog, 2026年9月16日公開。GitHub(Microsoft 傘下)のCopilotエージェントランタイムをRustへ書き換えた記録である。「もとはTypeScript、Node.js、V8 JavaScriptエンジンの上に書かれていた」(“It was originally written in TypeScript on Node.js and the V8 JavaScript engine”)と書き、「ランタイムを80万行を超える本番用Rustへ完全に書き直した。コードの大半はAIエージェントが書き、128件のプルリクエストにまたがってmainへ入り、最後に一度で切り替えるのを待つのではなく段階的に出荷された」(“we completely rewrote the runtime into more than 800,000 lines of production Rust. AI agents wrote most of the code, spanning 128 pull requests that landed in main and shipped incrementally rather than waiting for a single cutover at the end.”)と書く。人員規模については「エージェント以前ならチーム全体で1年か2年かかっていたはずのプロジェクトを、いまは主に一人の開発者が、わずか数か月で完了させた」(“A project that would have taken a whole team of developers a year or two before agents was now completed primarily by a single developer, in only a few months”)と書く。層構造については「実用的な判断として、SDKをCLIの上に重ねる構成を選んだ。論理的には逆の構成が期待されるにもかかわらずである」(“a pragmatic decision was made to layer the SDK on top of the CLI, even though logically you’d expect the inverse architecture”)、組み込みの費用については「最低でもクライアントあたり100MB程度のワーキングセット」(“on the order of 100 MB of working set minimum”)、「それはNodeのクラッシュがセッションを道連れにすることを意味した」(“It meant a crash in Node took the session with it.”)と書く。限定として「これは、あらゆる大きなTypeScriptプログラムがRustになるべきだという主張ではまったくない」(“This is in no way a claim that every large TypeScript program should become Rust.”)、「適切な移行先言語は、アプリケーションごとに正当に変わる」(“The right target language legitimately varies from application to application.”)と書く。移植後の形については「結果として、全ての言語フロントエンドがプロセス内で利用できるC ABIを公開する、純粋なネイティブバイナリになった」(“resulting in a pure native binary exposing a C ABI for in-process consumption by all the language front-ends”)、行数については「移植を通過した本番用TypeScriptは、おおよそ43万行と見積もっている」(“I estimate approximately 430,000 lines of production TypeScript ended up passing through the port.”)と書く。手順については「ランタイムのmainブランチは常に出荷可能である。各プルリクエストは、既存のTypeScript実装を、Rustを呼び出す薄いシムに置き換え、古いコードを一つの原子的な変更の中で削除する」(“The runtime’s main branch is always shippable. Each pull request replaces the existing TypeScript implementation with a thin shim that calls into Rust, and deletes the old code in one atomic change.”)と書く。一括切替には「全員がmainでの他の作業を止め、書き直しをmainで行う」(“Everyone ceases other work on the main branch while the rewrite happens, with the rewrite being done in main.”)形と、「書き直しをフィーチャーブランチで行い、mainでは作業が続く」(“The rewrite happens in a feature branch while work continues in the main branch”)形があるとし、部品置換の原子的な置き換えを「さまざまな理由で選んだ」(“We went with option 2a, for a variety of reasons:“)として「誰も作業の停止を経験しない」(“No one experiences work stoppage.”)、「書き直しは段階的でレビューしやすい」(“The rewrite is incremental and reviewable.”)と挙げ、「プルリクエストが必須のテストを落とせば、それは入らなかった」(“If a pull request caused a required test to fail, it didn’t land.”)と書く。新旧の版を並べて保守する形を避けた理由については「同じ部品の複数の版を同時に保守する2bの変種も避けた」(“We also shied away from the option 2b variant that involved maintaining multiple versions of the same component concurrently.”)、「ここ数か月、毎週数百件のプルリクエストがリポジトリにマージされ続けている中で」(“With hundreds of pull requests being merged into the repo per week for the last several months”)、「「両方を走らせて比べる」は、その部品の食い違っていく二つの写しを保守することを意味する」(““run both and compare” would mean maintaining two divergent copies of the component”)、「このように切り替えられることの利点は主に確信を得ることにあり、それは他の方法でも得られる」(“The benefits of being able to swap in this manner are primarily about gaining confidence, which we could do in other ways.”)と書き、続けて「検証は段階的な展開によっても行われた」(“Validation also happened through incremental rollout.”)、「実際の利用者の使用(多くはMicrosoftとGitHubの社内)を伴う配布版で、最後の区間の検証を得られた」(“enabled us to get a last-mile of validation in deployed builds with real consumer usage (most often first-party within Microsoft and GitHub)”)、「およそ14週半の移植期間に、mainは135のリリースを出した。うち100は先行版、35は安定版である」(“Over the roughly fourteen-and-a-half-week porting window, main shipped 135 releases, inclusive of 100 pre-release versions and 35 stable versions”)と書く。レビューに使わせた指示(rust-rebase-review)については「ハーネスがこのスキルを工程の適切な時点で呼ぶよう促し、ときどき手でも呼んだ」(“I encouraged the harness to invoke this skill at appropriate points in the process, and also manually invoked it from time to time.”)とし、その一項目に「E2Eテストが削除も変更もされていないことを確かめよ。そうした変更は移植の不具合の兆候である」(“Validate that no E2E tests have been deleted or changed. Such changes are an indication of a porting bug.”)がある。移植の順序については「計画は続けて、作業を葉から内側へ順序づけた」(“The plan continued by ordering the work from the leaves inward”)、「セッション編成は終盤に来ることになる」(“would come near the end”)と書く。退行の具体化については「これらの型は、繰り返し現れる少数のパターンでより具体的になる」(“Those families become more concrete in a handful of recurring patterns:“)と書く。退行については「2026年9月14日までに、数十件の既知の移植退行を追跡し、すべて修正した」(“By September 14, 2026, we’d traced dozens of known port regressions, all fixed.”)、三つの型については「正しさに関する退行のほぼ全ては三つの大きな型に分類される。新しいコードが違う挙動契約を実装した場合、状態・所有・寿命の挙動が変わった場合、あるいは移植の一部が省かれたか、部分的にしか適用されなかったか、rebaseで失われた場合である」(“Nearly all of the correctness regressions land in three large families: the new code implemented a different behavioral contract; state, ownership, or lifetime behavior changed; or some part of the migration was omitted, only partially applied, or lost in rebasing.”)と書く。具体例として「TypeScriptは数値型を一つしか持たないが、Rustはいくつかの型から選ぶことを要求する」(“TypeScript has one number type; Rust requires choosing among several”)、「JavaScriptの||は空文字列を置き換えるが、Rustのunwrap_orは空文字列を保持する」(“JavaScript’s || replaces an empty string; Rust’s unwrap_or preserves it”)、「最大の塊は、ライフサイクル、破棄、所有権、順序、または競合に関わるものだった」(“The largest cluster involved lifecycle, disposal, ownership, ordering, or races.”)と書く。費用については「移植作業全体でのトークン消費は、合計でおよそ1,363億トークンであり、うちおよそ1,306億がキャッシュされた入力読み込みトークンだった」(“My token spend for all of the porting work was ~136.3 billion total tokens, including ~130.6 billion cached input read tokens”)、「それらすべてのトークンの金銭的な請求額はおよそ12万ドルになった」(“The monetary bill for all those tokens came to ~$120,000.”)、「それはおよそ3週間を移植に充てた計算になる」(“that works out to roughly three weeks dedicated to the port”)と書き、「とはいえ、Rustへの移行の全体は100%一人の開発者ではなかった。チームの仕事である」(“That said, the end-to-end Rust migration was not 100% a single developer; it’s been a team effort.”)と断る。教訓については「エンドツーエンドテストは、絶対に、疑いなく重要である」(“End-to-end tests are absolutely, unequivocally critical.”)、「そのテスト自体を移植の途中で書き換えることはできない。さもなければオラクルを失う」(“those tests can’t themselves be re-written during the porting, or else you lose your oracle”)、「オラクルをエージェントから守れ」(“Protect the oracle from the agent.”)、「実装を変えるエージェントに、テストを弱め、スナップショットを更新し、互換性の基準値を引き上げ、あるいは逃げ道のラベルを付けることで正しさを黙って再定義することを許してもならない。少なくとも監督なしには」(“The agent changing an implementation cannot also be allowed to silently redefine correctness by weakening a test, updating a snapshot, raising a compatibility baseline, or applying an escape-hatch label, at least not without oversight.”)、「挙動の契約はできる限り独立に保ち、要所のガードレールは別の所有または承認の下に置き、故障モードの異なる検査を重ねて、一つの誤りでは大きな退行を出荷するに足りないようにせよ」(“Keep the behavioral contract independent where possible, put sensitive guardrails behind separate ownership or approval, and layer checks with different failure modes so that one mistake isn’t enough to ship a big regression.”)、「まず翻訳し、設計をやり直すのは二番目にせよ」(“Translate first, redesign second.”)と書く。実例として「エージェントの応答は、リポジトリのschema-break-ok自動化ラベルを付けることだった。それは検査を通すための逃げ道である」(“The agent’s response was to apply the repo’s schema-break-ok automation label, which is the escape hatch to make the check pass.”)、「問題なくはなかった。そのメソッドはmainに存在しており、移植が単に落としていた」(“It wasn’t. The method existed on main; the port had simply lost it.”)、「ある移植はSDKのコールバックを省き、そのエンドツーエンドテストを削除したため、エージェントは明示的な同意なしにE2Eテストを変えてはならないという新しい規則ができた」(“One port omitted SDK callbacks and deleted their end-to-end test, prompting a new rule that agents must not change E2E tests without explicit consent.”)と書く。E2Eテストの準備については「一つの例外を除き、欠けた機能に関わる退行の全てと、その他の多くは、十分なエンドツーエンドテストの不足によるものだった」(“With one exception, all of the regressions that involved missing features, and many of the others, were due to lack of sufficient end-to-end tests.”)、「我々はそれをやったが、十分にはやらなかった」(“We did that, but we didn’t do it enough.”)と書く。三つの型の直後には「少数は、ホストまたは相互運用境界の要件から、さらには誤った挙動を自信をもって検証したテストからも生じた」(“A smaller set came from requirements at the host or interop boundary, and even from tests that confidently validated the wrong behavior.”)、退行の全体像については「知られているもの以外にもあることを100%確信している」(“I’m 100% sure there are more than the ones we know about.”)、「製品向けのissueチャネルは、移行の間に意味のある品質懸念の急増を示さなかった」(“the product-facing issue channels didn’t show a meaningful quality concern spike during the migration”)と書き、bugラベルか失敗語を題に持つissueの比率をcopilot-cliで「22.9% (454 / 1,982)」(1〜4月)→「23.7% (354 / 1,496)」(5〜8月)、copilot-sdkで「36.2% (190 / 525)」→「32.3% (135 / 418)」と表にする。プロセス内の形については「これらのプロセス内の入口は、消費側アプリケーションとプロセスを、したがって故障境界を共有することに自信がつくまで、現在は選択制である」(“Those in-process entry points are currently opt-in while we gain confidence in sharing a process, and therefore a failure boundary, with the consuming application.”)と書く。結びとして「エージェントは、一人のエンジニアが監督できるコードの量を変えた。エージェントは、システムを理解し、方向性、ガードレール、リリースを保証できるエンジニアの必要性を無くしはしなかった」(“The agents changed the amount of code one engineer could supervise. They did not remove the need for an engineer who understood the system and could vouch for the direction, the guardrails, and the release.”)と書く。https://github.blog/ai-and-ml/generative-ai/migrating-the-github-copilot-runtime-to-rust-using-copilot/ ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10 ↩11 ↩12 ↩13 ↩14 ↩15 ↩16 ↩17 ↩18 ↩19 ↩20 ↩21 ↩22 ↩23 ↩24 ↩25 ↩26 ↩27 ↩28 ↩29 ↩30 ↩31 ↩32 ↩33 ↩34 ↩35 ↩36 ↩37 ↩38 ↩39 ↩40 ↩41
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METR, “Measuring the Impact of Early-2025 AI on Experienced Open-Source Developer Productivity”, 2025年7月10日公開。経験豊富なオープンソース開発者を対象にしたランダム化比較試験(RCT)である。「早期2025年のAIツールが、自分自身のリポジトリで作業する経験豊富なオープンソース開発者の生産性にどう影響するかを理解するため、ランダム化比較試験(RCT)を実施する」(“We conduct a randomized controlled trial (RCT) to understand how early-2025 AI tools affect the productivity of experienced open-source developers working on their own repositories.”)と書き、「開発者がAIツールを使うと、使わない場合より19%長くかかることが分かった」(“we find that when developers use AI tools, they take 19% longer than without”)と報告する。対象は「大規模なオープンソースリポジトリから16名の経験豊富な開発者を集めた」(“we recruited 16 experienced developers from large open-source repositories”)、課題数は「246件」(“246 total”)である。開発者本人の見立てについては「開発者はAIが24%速くすると予想しており、遅くなったことを経験した後でさえ、AIによって20%速くなったとなお信じていた」(“developers expected AI to speed them up by 24%, and even after experiencing the slowdown, they still believed AI had sped them up by 20%“)と書く。METR自身の限定として「この結果を、ある一つの関連する状況における早期2025年のAI能力のスナップショットとみなしている」(“We view this result as a snapshot of early-2025 AI capabilities in one relevant setting”)と書く。https://metr.org/blog/2025-07-10-early-2025-ai-experienced-os-dev-study/ ↩ ↩2
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METR, “We are Changing our Developer Productivity Experiment Design”, 2026年2月24日公開。実験設計の変更を告知する記事である。「新しい実験からのデータは、AIツールの現在の生産性効果について信頼できない信号を与えると考えている」(“we believe that the data from our new experiment gives us an unreliable signal of the current productivity effect of AI tools”)と書き、理由として「AI無しで働くことを望まないという理由で、研究に参加しないことを選ぶ開発者が大きく増えたこと」(“a significant increase in developers choosing not to participate in the study because they do not wish to work without AI”)、「複数のAIエージェントを同時に使う開発者の割合について、各課題にかけた時間の測定が信頼できないこと」(“our measurements of time-spent on each task are unreliable for the fraction of developers who use multiple AI agents concurrently”)を挙げる。それでも「いま(2026年初頭)において、開発者は2025年初頭の我々の推定よりもAIツールによって速くなっている可能性が高いと考えている」(“we believe it is likely that developers are more sped up from AI tools now — in early 2026 — compared to our estimates from early 2025”)と書く。ただし「しかし、実験の選択効果のため、我々のデータはこの増加の大きさについてごく弱い証拠でしかない」(“However, because of the selection effects in our experiment, our data is only very weak evidence for the size of this increase.”)と限定する。偏りの向きについては「AI無しで働くことを望まない開発者の不参加は、AIによる高速化の推定を下向きに偏らせる可能性が高い」(“which likely biases downwards our estimate of AI-assisted speedup”)、「これらの効果により、上で報告した推定は、これらの開発者に対するAIの真の生産性効果の下限である可能性が高い」(“these effects make it likely that our estimate reported above is a lower-bound on the true productivity effects of AI on these developers”)と書く。同じ段落は前年の結果を「2025年初頭の研究では、AIの使用で課題に19%長くかかり、信頼区間は+2%〜+39%だった」(“Our early 2025 study found the use of AI causes tasks to take 19% longer, with a confidence interval between +2% and +39%.”)と所要時間の増減で並べたうえで、生の推定を「元の研究の開発者のうち後の研究にも参加した部分集合について、いまは−18%の高速化(信頼区間 −38%〜+9%)と推定する。新たに募集した開発者では推定される高速化は−4%(信頼区間 −15%〜+9%)である」(“For the subset of the original developers who participated in the later study, we now estimate a speedup of -18% with a confidence interval between -38% and +9%. Among newly-recruited developers the estimated speedup is -4%, with a confidence interval between -15% and +9%.”)と示す。報酬は「$150/時から$50/時へ引き下げた」(“we reduced the pay from $150/hr to $50/hr”)と書く。https://metr.org/blog/2026-02-24-uplift-update/ ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6
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Stoyan Nikolov ほか, “How is Google Using AI for Internal Code Migrations?”, ICSE-SEIP 2025(2025 IEEE/ACM 47th International Conference on Software Engineering: Software Engineering in Practice)pp.481–492, DOI 10.1109/ICSE-SEIP66354.2025.00048。arXiv:2501.06972 v1(2025年1月12日)が公開版である。Google社内のコード移行にLLMを使った経験談である。「本稿はGoogleにおけるコード移行へのLLM利用に関する経験報告である。研究ではない」(“This article is an experience report on using LLMs for code migrations at Google. It is not a research study”)と自ら限定し、「LLMの利用が移行に要する時間を大きく減らし、移行プログラムを始めて完了させる障壁を下げるという証拠を見ている」(“We see evidence that the use of LLMs can reduce the time needed for migrations significantly, and can reduce barriers to get started and complete migration programs.”)と書く。工程については「専門家が起動するLLMベースの移行ツールキットが自律的に走り、単体テストを通るコードだけを含む検証済みの変更を生む。必要なら、コードの変更を反映するためにテストも更新される」(“An LLM-based migration toolkit, triggered by an expert, runs autonomously and produces verified changes that only contain code that passes unit tests. When necessary, tests are also updated to reflect the changes to the code.”)、「同じ技術者がその変更を手で確認し、モデルが失敗したか誤った箇所のファイルを必要に応じて更新する。変更は分割され、影響を受ける部分のコードベースを所有する複数のレビュアーへ送られる」(“The same engineer then manually checks the change and potentially updates files where the model failed or made a mistake. The changes are then sharded and sent to multiple reviewers who own the part of the codebase affected by the change.”)と書く。int32→int64のID移行については「着地したCLのコード変更の80%は完全にAIが書いたものであり、残りは人が書いたか、AIの提案から編集したものだった」(“We found that 80% of the code modifications in the landed CLs were fully AI-authored, and the rest were human-authored or edited from the AI suggestions.”)、「移行に費やした総時間は、移行を行った技術者の報告によれば、LLMの支援なしに行った同様の作業と比べて推定50%減った」(“The total time spent on the migration was reduced by an estimated 50% as reported by the engineers doing the migration, when compared to a similar exercise carried out without LLM assistance.”)と書く。LLM以前からの機械的な手段については「Googleのモノレポ規模では、大規模変更のための特別な基盤が使われてきたし、いまも使われている」(“At Google’s monorepo scale, special infrastructure for large-scale changes [26] was, and still is used.”)、「その基盤は静的解析と、Kythe、Code Search、ClangMRのようなツールを使う」(“That infrastructure uses static analysis and tools like Kythe [16], Code Search [26] and ClangMR [5].”)と書く。https://arxiv.org/abs/2501.06972 https://doi.org/10.1109/ICSE-SEIP66354.2025.00048 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
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